ウイーンに来ました

ダーモスコピーというホクロなどを拡大して良性悪性を診断する技術に関する国際学会に来ました。会は3年ごとです。前々回は6年前にバルセロナ、前回は3年前にブリスベンで開かれました。時の経つのは早いです。
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早朝散歩 
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お土産物屋のショーウインドーにはクリムトがたくさん さすがにシーレはあまりありません。
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王宮の一部が会議場になっています。
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王宮の横にはアマデウスが。写真は昨日のもの。昨日は夏日、今日は雨降りで最高気温12度でした。


この検査法は、患者さんからすれば医者がホクロに限りなく近づき、ライトが灯る拡大鏡でのぞいているだけにしかみえないかもしれません。でもこの検査をやるようになって、ホクロかメラノーマか心配して受診された患者さんの黒いシミを生検(切除して標本化し、顕微鏡で見て診断をつけること・・・病理検査)することがかなり減りました。自分の印象では1/10ぐらいになった感じがします(正確な数字ではありません)。私はかなり長く大学に勤務しているので、一般のクリニックで診断に迷うような症例も送られてきます。ですから悪性の可能性のある症例が含まれやすい環境で診察しているというバイアスがかかっていると思います。そんな環境でも生検する方はかなり減りました。つまり、痛みをともなう余計な検査をしないで済む方がかなり増えたということです。
会議の冒頭に触れられた検査の歴史を聞いて、25年前を思い出しました。うちの施設では25年前に当時の教授がこの検査を始めました(本日も座長と発表を務めておられました)。その頃はかなりマニアックな検査であり、保険収載(保険が効く、公的に認められた検査)までにそれから10数年かかりました。初期の機器は直径10㎝、長さ60-70㎝のバズーカ砲のような形をしていて、その先に小さいレンズとライトがついていました。これを足の裏に当てるのですから、検査を専門にやっていた同期の先生は大変でした。しかし、ふと、ダーモスコピーは偏光レンズとライトさえあれば観察できる検査なので、なんであんなに大きかったのだろうと不思議に思いました。思い出しました。画像をデジタルで記録することが大変だったんでした。1990年代の始め頃です。デジタルカメラも大変高価でした。保存用のデスクも容量が小さいのでたくさんの枚数を消費していました。インターネットの速度も遅く、ストレスなく送ったり受けたりできるようになったのは2000年以後でしょうか(忘れてしまいました。A41枚を受けるのに30分ぐらいかかっていたような気がします)。今手元にある機器はiPodにアウターをかぶせたものです。小さいし、小型だし、安いし、動画も撮れます。今では当たり前ですが、技術の進歩のすごさとそれを当たり前に思ってしまっていることに気づきました。

「ウイーンに来ました」への5件のフィードバック

  1. お疲れ様でございます。
    ipodに被せる、お勧めの機種を教えてください。よろしくお願いいたします。
    先生のブログは勉強になります。

  2. SECRET: 0
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    早速のご丁寧なお返事ありがとうございます。他科の機器に比べると安価でありがたいです。参考にさせていただきます。

  3. クリムトは、スペイン風邪で亡くなりました。当時の新型インフルエンザの犠牲になったということでしょうか。

  4. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます。エゴン・シーレも同じ病に倒れたようです。インフルエンザは今も昔も怖い感染症ですね。

ビーアンビシャスボーイズ  へ返信する コメントをキャンセル

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