サルコイドーシスとは(1) 新しい診断基準(2015)

週末は札幌に行ってきました。北海道地方会に出席するためです。関西医大の岡本教授のサルコイドーシスの講演を聞きました。今回は自分の勉強を兼ねてサルコイドーシスの新しい診断基準(2015年改訂)についてまとめてみます。2016MAR18

並走する2すじの飛行機雲。この後、北から来たもう1本の飛行機雲がこれに直行しました。空にも道があるのですね。FDAで銀色の機体は初めてでした。


サルコイドーシスとは全身の臓器に肉芽腫(にくげしゅ)というかたまりができてしまう病気です。特に眼、肺や縦隔(左右の肺の間)、心臓、皮膚などが多いと思います。原因は不明です。岡本教授も述べておられましたが、肉芽”腫”というと、この”腫”というひびきが”がん”を思わせるため、患者さんはびっくりします。”腫”は”なにかのかたまり、しこり”程度の意味です。悪いもの(がん)もいいもの(良性)もあります。
次に、”肉芽腫”の意味ですが、これも一般の方には聞きなれない言葉かもしれません。だいたい、インストールしたばかりにWordに”にくげしゅ”と入れても”肉芽腫”と変換されません。私は最初は”にく” ”め” ”しゅ”と入れます。そういえば昔の病院の端末PCの変換能力はかなり低く、半月板が出てこず、”はんつきいた”と入れてるんだと嘆いていた整形外科の先生がいました。
話がそれました。肉芽腫とは”組織球(そしききゅう)”という細胞が集まってかたまりを作った状態をいいます。組織球はいろんなものを食べる細胞です(ここからはかなり大雑把な説明になります)。たとえば、体に何か異物(棘や金属や結核菌など)が入ると、体はこの異物を外に出すか、食べてしまうか、カプセルにして閉じ込めてしまおうとします。組織球は食べたり、カプセルを作る役目をします。
自分に不都合なものをカプセルにして閉じ込めてしまうことは一見よさそうに見えますが、かたまりがずっと残ったり、異物を核にしてカプセルのサイズがどんどん大きくなると、これはまた周りの正常細胞にとって迷惑なことになります。
たとえば結核は菌を核にして大きなカプセル(肉芽腫)がたくさんできる病気です。結核菌事態でなくなることもありますが、実はこの大きなカプセルによって肺が壊されて命を失うことになります。なんらかの感染症で体の臓器が壊れる原因として、もちろん病原体自体も大きな役割を果たしますが、実は病原体を攻撃する自分の免疫が頑張りすぎて臓器を壊してしまって問題になることも少なくないのです。小さい敵をやっつけるために大規模な軍隊を導入し、敵は消えたが国も壊れた、というような状態です。
話をもどします。
皮膚にできる(原因がはっきりしている)肉芽腫で多いのは、非結核性抗酸菌症(結核菌の仲間です。土や腐った木や熱帯魚の水槽などからうつります)、特殊なカビ、たまに結核です。
でもこのようなカプセルの核になる異物がないのに、カプセル(肉芽腫)ができてしまう病気がサルコイドーシスです。長くなってしまったので、次へ

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