皮膚科のレジェンド

今日の午後、友人に誘われてミュンヘン大学皮膚科を訪問しました。アポもないのに、運よく、今月で退任される現教授にお会いすることができました。来月、新任教授がチューリッヒから就任されるそうです。その後、病院を見学しながら歩いていたら廊下に歴代の教授のブロンズ像が展示されていました。各先生のお名前は皮膚科のいろいろな病名となっています。病気を定義づけた、発見した歴史的に著名な教授達であるわけです。レジェンド達の像の中には、現在もご存命(失礼)ドイツ皮膚科学会の大御所もおられます。そのミュンヘン大学の名誉教授が現在、医学史に興味を持っておられると説明を受けている最中に、ご本人が偶然通りかかりました。ニコニコしがらお部屋に連れて行っていただき、著書(Pantheon of Dermatology)を解説してくださいました。分厚い本には名前しか知らなかった皮膚科のレジェンド達の写真や古い症例写真や絵が満載です。「この先生は知ってるか?」「この足が黄色い絵の疾患は?」「オレンジの食べ過ぎです」「日本の有名なオレンジの名前は何て言ったかな?」「みかんです」「そうだみかんだ」・・・・梅毒症例も多く、もちろん日本の皮膚科のレジェンド達の写真や記事もまとめられています。皮膚症状を描写した絵には写真にはない味わい(訴えてくる特徴)があります。絵で診断能力を磨くというのもいいかもしれないと思いました。

終始、先生は好奇心に満ち満ちたお顔で説明してくださいました。帰りがけにご著書までいただいてしまいました。忘れられない素晴らしい午後となりました。

Pantheon of Dermatology provides an exciting introduction to the history of dermatology through the life stories of its most important protagonists.

Springer(出版社)の説明より(このPDFには内容一部として、Kaposi先生やAckerman先生が紹介されています)

*(いただいておいてなんですが)皮膚科の研修施設には1冊あったほうがいい書籍だと思いました。また、絵や写真とその説明を読むだけでも面白いです。

Pantheon of Dermatology
Outstanding Historical Figures
▶ 209 outstanding personages covering a span of six centuries
▶ biographical sketch and an assessment of the individual’s impact on
dermatology
▶ 2107 illustrations, including rare documents and portraits
Auspitz sign, Kaposi sarcoma or Herxheimer reaction:

Who were the individuals who gave their names to these terms?

What was the impact on medicine during their lifetime?

What is the significance of their work today?

The authors introduce all who are interested in medical history and especially in the development of dermatology as a specialty to 209 outstanding personages covering a span of six centuries. Text and illustrations are combined to provide both a biographical sketch and an assessment of the individual’s impact on dermatology. There are 2107 illustrations both from private collections and international libraries, including rare documents, portraits and other impressive mementoes of past medical epochs. Pantheon of Dermatology provides an exciting introduction to the history of dermatology through the life stories of its most important protagonists. As Thomas Carlyle said: History is the essence of innumerable biographies.

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2018 ミュンヘン

ヨーロッパでがん治療に関する最大の会議がESMOです。今年はミュンヘンです。初めて来ました。主にメラノーマのセッションに出ています。どんな病気でも同じですが、新しい治療薬が出てくれば、どちらがいいのか、再発したらどの薬に変えたらいいのか、効果はどうか、副作用は?・・・といった疑問がたくさん出てきます。治療する患者さんの数が増えてくれば、だいたいの傾向が見えてきますが、最初は手探り状態です。今回のESMOでも、そのような疑問に対する答えになりそうなデータが出始めていました。新薬の治験の結果もちらほら。

いいフレーズだ、と思った。

晩秋ですね。札幌よりちょっと寒いけれど、晴れていて気持ちいいです。

 

 

 

 

ノーベル賞

先ほど今年のノーベル医学生理学賞が発表になりました。PD-1を発見した京都大特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)先生とCTLA-4を発見したJames Patrick Allison先生です。先生たちは免疫反応の調節の仕組み(免疫反応が暴走しないように抑えるブレーキのしくみ)をみつけただけでなく、さらにそこから薬剤を開発し、がんの免疫療法を劇的に変えました。仕組みの発見から薬が現場で使えるようになるまで20年以上かかりました。

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