ある日突然、全身にものすごくかゆい赤いものが出た。蚊に刺されたようにプクッと盛り上がっている、あるいは花びらの縁取りのように輪になっている、あるいは世界地図のように異様な形をしている。1-2時間した自然に消え始めた、が、また出た。毎日出たり欲混んだりしている。
じんましん(蕁麻疹、ジンマシンです。1日のうちに出たり引っ込んだりする皮膚病は蕁麻疹しかありません。じんましんはヒスタミンという物質が大量に出て起きる病気ですから、ヒスタミンが作用するところをブロックしてやるのが治療の基本です。抗ヒスタミン剤が必須です。しかし、なぜかステロイド(副腎皮質ホルモン剤)が投与されしまうことがあります。急性のジンマシンにステロイドは意味をなさないという論文が出ました。
http://www.jwatch.org/na44254/2017/06/09/isolated-urticaria-skip-steroids
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円山に登ったあと、ふと、軽い気持ちで藻岩山にも行ってみようと思ったのです。が、けっこうちゃんとした登山になりました。原始林を抜け、山頂で3D映像を鑑賞してきました。藻岩山の成り立ちを知りました。
途中の路に大きなカタツムリがいました。
美しい夕焼けになりました。風がここちよい夕暮れです。
For Isolated Urticaria, Skip the Steroids NEJM 2017年6月9日記事
非常に権威のある雑誌に出ました。簡単にまとめると、急に蕁麻疹が出て、かつ、唇やマブタの腫れ、などの皮膚以外の症状がない方で皮疹が出てから24時間以内に、救急を受診した患者さんを対象に抗ヒスタミン剤のレボセチリジン(日本での商品名ザイザル)にステロイドであるプレドニゾン(1日40㎎4日間)を併用した群と併用しない群を比較した試験の結果が報告されています。結果はストロイドを一緒に使うメリットはなかったとのことです。
新しい抗ヒスタミン剤はとても優秀です。効果が高く、眠気などの副作用が軽いのです(初期の抗ヒスタミン剤である、ポララミン、ホモクロミン、アタラックス、ペリアクチン、などはウイスキーを1-2フィンガー飲んだのと同じような影響が脳に出ます。米国では車の運転を禁止している州も少なくありません)。ですからまずは新しい抗ヒスタミン剤を飲むのが蕁麻疹の治療の原則です。セレスタミンというお薬が良く処方されますが、これはベタメタゾンというステロイドとd-クロルフェニラミンマレイン酸塩ステロイドと古い抗ヒスタミン剤の合剤です。少なくても抗ヒスタミン剤は眠くならない新しいタイプのものがおすすめですし、どうしてもステロイドが欲しければきちんとした量を別に処方してもらったほうがいいでしょう(わたしは皮膚科医になった30年、急性のじんましんにステロイドを出したことは一度もありません)。蕁麻疹に抗ヒスタミン剤の処方がなく、ストロイドのみで効かない=変わった蕁麻疹、として受診される方もいます。まずは適量の抗ヒスタミン剤をすぐ飲む、効かなければ増量して飲む、でたいていはコントロールがつきます。
それでも、
「注射してくれないのか?」とか
「塗り薬はないのか?」とか
とおっしゃる患者さんは少なくありません。なんとなく1-2錠の飲み薬では頼りなく感じるのでしょうか?よくわかります。患者さんにきちんと伝わる説明が大事ですね。
為念:ステロイドがいらないのは”急性”(論文では24時間以内)の場合です。慢性(だらだら1か月半以上続く)で抗ヒスタミン剤が効かないときや、あるいは唇の腫れ、息苦しさ、腹痛、下痢、などの皮膚以外に症状がある方にはステロイドを使うことはよくあります(私も使います)。
「急に出た(皮膚以外に症状のない)ジンマシンにステロイド(ホルモン剤)はいらない」への2件のフィードバック