輪になる皮膚炎

2016年に書いた文章の再掲です。輪(ドーナツのように)のようになる皮膚炎。

以下、文章も写真も2016年当時のものです。

輪(環状)になる皮膚病

まん丸の輪の形の赤い皮疹を見ることがあります。個人的な印象では、一番多いのは、白癬(首や胸、背中や臀部、股にできた水虫)です。首から背、お尻、太ももの付け根にできることが多いと思います。患者さんはほぼすべて高齢者です。今やインキン、タムシは青年の病気ではありません。お年寄りの病気です。形は半円から完全な輪の形で、輪の部分はブツブツした皮疹が集まっていたり、カサカサしていたり、カサブタが付いていたり、小さい膿の粒が混じっていたりします。かゆいです。足の爪が白黄に濁って厚くなっている方が多く、多分この爪水虫からうつったと思われる方が結構います。

水虫以外で輪になる皮疹になる疾患は珍しいです。ですが、大事な病気が隠れていることがあります。まとめておきます。

関連記事:輪になる、花びらの輪郭のような皮膚病、ジンマシン

久々に川です 上陸した中州に盛りのちょっと過ぎた芥子とミツバチ

 

輪のような皮疹の鑑別(かんべつ:何の病気か区別すること)は輪の部分の皮膚の状態が役に立つかもしれません。どれも珍しい病気です。

1.表面がすべすべ(正常)で触ってもしこりを触れない・・・つまりまっ平らで、輪の模様のみ

・・・ライム病:マダニ喰われてうつる病気です。抗生物質が必要です。皮膚科に行ってください。山登りやハイキング時に喰いつかれます)(年に1例ほど見ます)

・・・リウマチ熱:子供の溶連菌感染(30年の皮膚科人生で1人見ただけです)

・・・遠心性環状紅斑(えんしんせいかんじょうこうはん):字のとおり、輪がだんだん外に拡大していく皮膚炎です。ときどき、内臓のがんや血液の病気が見つかることがあります(私の経験では、基礎疾患(きそしっかん:原因となる全身の病気)が見つかることはとても稀です。薬を塗ってもなかなか治りません。

・・・上記3つには「かゆみ」はありません。輪になって、あるいは花びらの縁取りのような赤い皮疹でものすごくかゆくて、出たり引っ込んだりするのは蕁麻疹(ジンマシン)です。

関連記事:急性の蕁麻疹にステロイドはいらない

2.輪の部分が堤防のように少し盛り上がっていて、中心部も含めて全体的にしこりを触れる+表面正常(つるつる)

・・・サルコイドーシス:血液検査と胸のレントゲンと心電図を撮ります。組織球というやつが用もないのに増えてかたまりを作る病気です。(年に1-5人ほど見る)

・・・環状肉芽腫(かんじょうにくげしゅ):これも組織球というやつが用もないのに増える病気です。ほとんど皮膚のみで、サルコイドーシスのように内臓にはできません。たくさんできている方はSLEという膠原病や糖尿病が関係していることがあります。(1年に2‐3人は見る)

・・・円盤状エリテマトーデス:膠原病の一種です。頭にできると脱毛になります。

3.輪の部分が少し盛り上がっていて、そこの皮膚表面はガサガサしている(カサカサ、じくじく、ブツブツ)・・・白癬(水虫)パターン

・・・湿疹:丸くなることがあります。

・・・乾癬:丸あるいは花びらのようになることがあります。

・・・シェーグレン症候群:唾液や涙などの水を分泌する腺が攻撃される膠原病です。

・・・新生児エリテマトーデス:生後1-3ヶ月頃の赤ちゃんに1-3㎝の輪のような赤い皮膚炎ができます。お母さんがSLEという病気にかかっていて、お母さんの抗体(自分を攻撃するミサイル)が胎盤を通って赤ちゃんに移行して起きる病気です。赤ちゃんの皮膚症状からお母さんの病気が発見されることが結構多いです。

ここからは2021年1月31日に書いてます。散歩をかねて円山動物園によく行きます。動物園が好きなんです。中学から高校にかけて写真を撮っていましたが、須坂動物園にはほぼ毎週かよってました。お気に入りはニホンザルで、前に陣取ってシャッターチャンスを探ってました。寒い日はみんな体を寄せ合って温めあっているのがかわいかった。(今は許されませんが)金網の隙間にレンズをはめ込んで撮影してました。ケーキのくずを投げられてカメラがドロドロになったこともあります。けれどレンズにバターの膜ができると微妙にぼやけておさるさんも美人に映るのです。デジタル画像処理など考えつかなかった時代ですので、その場の工夫が必要でした。多くは現像後にがっかりする結果になりましたけど。

円山動物園のシロクマ 飛び込みそうで飛び込まない これにじらされてなかなか立ち去れない 「30分もここにいるのに 飛び込まないの・・・」と観客の方。

真冬はここに張った氷を破って飛び込みます。ぜひ見たいです。

ホクロ ほくろを切除したら危ないか?

2011年2月22日の記事の再掲です。ホクロは切除したらいけないのか?

先週末に高校の同窓会がありました。30年ぶりです。卒業以来初めて会った同級生もたくさんいました。
そんな中で聞かれた質問です。
ホクロを切除したら危ないか?

ホクロとは良性の皮膚の腫瘍です。
ですからホクロを切除しても何にも悪いことはありません。
ただ確かにホクロときちんと診断したあとであればです。シミにはたくさんの種類があります。黒いシミを一緒くたにし、診断をきちんとしないでレーザーなどで焼くようなことをすると、非常に確率の低いロシアンルーレットのようなことになります。

メラノーマという黒い皮膚のがんがありますが、でき始めはやはり小さくて黒いのでホクロと見分けが難しいのです。良性のホクロはある程度育ったら横方向の成長は止まりますが、メラノーマはむしろ盛り上がらずに横方向(水平方向)に拡がっていきます。

では、小さいしみは見分けがつかないから早く切除したほうがよいのでしょうか?そんなことはありません。メラノーマだって小さいうちは大人しいのです。7mm以下で明らかに良性と判断できない場合には少し時間をおいて変化を観察することが多いと思います。特に3mm以下は良性か悪性かわからないので自分でときどきみてもらうだけでよいと思います。

子どものときは(サイズが小さいシミは)、将来悪人(メラノーマ)になるか全うな人(ほくろ)になるかわかりません。ただし、人間のこどもは途中で良くも悪くもなりますが、メラノーマはたぶん小さいうちからメラノーマであると思います

*2021年1月追加コメント:日本人のメラノーマの5%ぐらいは子供の時からあったホクロが(多くは思春期すぎに急に大きくなったっり一部が盛り上がってきた)変化してきた、というエピソードがあります。たぶんホクロからメラノーマが発生したのだと思います。このメラノーマには特徴があります。まず20-40歳の若い方(とくに女性)、頭の毛の生えている部分・胸腹背中・手足を除く腕や下肢に多い。BRAFという遺伝子に異常がある。・・・つまり白人に多いタイプです。色白の方が多い印象もあります。)。

皮膚科にかかったほうがよいシミは、思春期以後に初めてでてきたシミで、大きさが7mmを超えたものです。鉛筆の断面を当ててはみだしたら7mm以上あります。良性のホクロでもけっこう育ちますが、成人以後に出たものは3mm以上にはあまりならずにむしろ上に盛り上がってくることが多いと思います。ただし、7mmを超えたからといってメラノーマである確率は低いのでむやみに心配する必要はありません。7mm以上でもほとんどがちょっと大きくなりすぎたホクロです。

ここまで2011年の記事です。

以下、記事とは関係ありません。家の近くの円山動物園も雪に覆われました。

しもやけ(凍瘡 とうそう)になった

2019年1月の記事(写真を含め)の再掲です。(シモヤケには注意

昨年末の冬の入りは、なんとなく暖冬でしたが、ちゃんと帳尻を合わせるように年明けから寒くなりました。リスクとは悪いことが起きる確率ではなく、良いことと悪いことの幅を示しているので、悪いことがあるときっと良いこともあります(いつ良いことが起きるかわかりませんが)。逆もありです。

今回は、今までなんともなかったのに、一昨年から、去年から、今年から、寒くなると手の指に痛痒い丸い赤いできものができるようになった。シモヤケでしょうか?という患者さんが時々います。60歳以上の女性・・・・が多い。

シモヤケは普通の病気ではありません(個人的な意見です)。シェーグレン症候群などの膠原病が隠れている可能性があります。シェーグレン症候群は”抗核抗体”が陰性でも否定できません。抗SS-A抗体の有無を調べないとわかりません。

関連記事

しもやけになった!痛くてかゆい冬の皮膚炎 ・・・以前は春になってもシモヤケがあれば膠原病を疑え!と教わりましたが、冬にできても変だと思います。この記事訂正します。

シモヤケと縦横縦横の亀甲文字

近況写真(本文とは関係ありません)

今月の札幌は晴れる日が多く(だから寒いのですが)、気持ちがいいです。近くのスキー場です。

早朝の駅も好きですが、空港もいい感じです。羽田には雪がありません。寒いところに住んでいると幸せの閾値が下がります(幸せ度が高まるということです)。

 

シモヤケは凍瘡(とうそう)といいます。冬山登山で手足が寒さで皮膚が痛んでしまうのは”凍傷:とうしょう”です。まぎらわしいですが”凍瘡しもやけ”と”凍傷”は別物です。

シモヤケは私が子供のころはありふれた病気でした(寒い地方で育ちましたので暖かいところではあてはまらないかもしれませんが)。でも、60歳から70歳を過ぎてから急にシモヤケが出るようになった、と受診される方がいます。本当のしもやけであったり、実はもともと血行が悪く、寒くなったために症状が出る(顕在化:けんざいか)ようになった方もいます。

私はまず、患者さんの爪を見ます。爪の甘皮(爪上皮)が1-2㎜以上に伸びで、そこに点々と黒や赤の点(出血)があれば何らかの血行障害があります。強皮症やシェーグレン症候群が多いと思います。血液検査で膠原病のスクリーニングをします。必ず抗核抗体とSS-A抗体を調べます。

自分の体をバイキンから守るために働いている免疫がまちがって自分を攻撃してしまうことがあります。自分に向かうミサイルを自己抗体と呼びます。ミサイルは攻撃目標ごとに名前がついています。細胞は細胞質の中心に核があります。核を標的とするミサイルを”抗核抗体:核に抗する抗体”と呼びます。抗核抗体の中には核の成分に対する多くの種類の抗体が存在します。多くの抗体は核に関連する成分を攻撃目標とするため、”まずは”抗核抗体だけ調べて陰性なら、さらに詳しい検査は不要になります。

しかし、細胞質を標的とするミサイルの存在は”抗核抗体”ではスクリーニングできません。シェーグレン症候群(涙、唾液などの分泌腺が攻撃されます)で攻撃されるミサイルの標的(SS-A,SS-B)は細胞質にあるからです。他に皮膚筋炎や多発性筋炎の抗体の攻撃目標も細胞質にあります。膠原病のスクリーニングに抗核抗体だけ調べても不十分です。

膠原病を疑っても、自己抗体が陰性の場合があります。「自己抗体が陰性だからあなたは膠原病じゃない」と言われ、でも手が冷たいと言って受診する患者さんがいます。自己抗体が陽性でも症状が軽ければ治療は不要ですが、自己抗体が陰性でも症状が強ければ治療します。抗原病は診断が難しいので、厚労省から出ている”診断基準”に沿って診断する研修医がいます。「昨日まで3項目しか満たしませんでしたが、今日4項目目の検査が陽性になりましたので、今日SLEになりました」・・・。

診断基準は確かにたくさんの患者さんの因子を統計学的に解析し、その疾患を他の疾患から区別できる項目を選び出したものです。しかし、それは治療や予後(病気の重症度の将来的な悪化予測)因子の検索(研究)や公的保証を決める”基準”として用いるべきで、治療などの対応は症状ごとに考えたほうがよいのです(個人的見解です。為念)。

指切った 血が止まらない 止血法

2010年4月に書いた文章の再掲です。(以前の記事

ちょっと前に出張先の病院の看護師さんから聞いた話です。
知り合いの方が指を切ったときにいろいろやったけど、血が止まるまで30分以上かかったんだそうです。
良く話を聞くと、指の切り傷にガーゼを当てて上から包帯できつくしばったんだそうです。

これ、血止まりません。逆に血がどんどん出ます。

おでこや唇や指などは、ぶつけたり、カッターや包丁で切ったりして傷がよくできる場所です。

血が出ます。頭や唇はしばれない(首を絞めて血を止めようとする人はいませんよね)ので、みんな布などで出血している部分を押さえて病院に来ます。ちょっとした傷では、診察の時には出血が止まっていることが多いです。

これが指の切り傷で出血している場合は、傷の上から、あるいは指の根元を包帯で縛る方がいます。出血が止まらないときは傷より心臓に近い場所をきつく縛れ、血行が止まるので30分ごとにゆるめろ。なんて聞いた方も多いのではないでしょうか。これは指や腕が切断されたり、太い動脈が切れたような場合に行う処置です(動脈が切れますと、ホースの途中に小さい穴が開いたときのように、ピーと勢い良く血が出ます)。

ほとんどの出血は、血が出ている場所をピンポイントで押さえているだけで止まります。

たとえば、左手の人差し指の爪の親指側を包丁で切ってしまったとします。こういうときは、ティッシュなどをまるめて傷に当て、左手の親指で強めに抑えればいいのです。そのままでテレビをみるなどをして15分ほど時間をつぶしましょう。「止まったかなー?」なんて、1分毎に何度も傷をみているとなかなか止まりません。1回押さえたら、傷を見たいのを我慢する、というのが大切です。

話をもどします。
出血した直後に傷の上から包帯でしばってもなぜ血は止まらないのか?
血液は心臓から動脈で体のスミズミまで運ばれます。大事な血管ですから皮膚の深いところを走っています。酸素や栄養を渡したあとの血液は静脈で心臓に帰ります。動脈の流れをしばって止めるためには血圧の倍ぐらいの圧力でしばる必要があります。これかなり痛いです。包帯でいくら強くしばっても、浅いところを走る静脈の流れは止められても、深いところを走る動脈の流れを止めることはできません。どうなるか?
動脈は流れている・・・血液は供給される・・・包帯によって浅いところを走る静脈は流れが止まっている・・・・血が心臓にもどらない・・・傷の手前で血がたまる(ダムになる)・・・出血している部分は包帯で圧迫されているだけで圧が弱い・・・血がどんどん出てくる。
出血している部分だけをピンポイントで押さえる方法だと、
動脈は流れている・・・血液は供給される・・・傷以外のところを走る静脈は正常なので、いつもどおりに血がもどっていく・・・傷の手前で血がたまらない・・・出血している部分だけ強く圧迫されているので出血しない・・・そのうち血が止まる。

ぶつけた、切った。
血が出た。
ティッシュを丸めて当てる。
上からピンポイントで押さえる。
血が止まったかなぁ。。。なんてすぐ見ない。しょっちゅう見ない。
これが日常の小さい傷からの出血を止める方法です。
深くざっくり切ったようなときは、腱や神経が切れていることもあるので病院に行ってくださいね。

学生の頃、ハンバーガー屋さんでバイトしていたことがあります。包丁の使い方はここで覚えました。今でもお店あるんですよ。大通駅から東に延びる地下街の一番端にあるお店です。

ここからは2021年1月29日

記事とは関係ありません。今年は雪が少ねえなあ・・て言ってたら、やっぱりこうなった。