WHOの皮膚腫瘍の分類の最新版(4版)が出版されます Who Classification of Skin Tumours 4th edition– 2018/9/30

Who Classification of Skin Tumours 4版

皮膚科は病気(病名)が非常に多いのですが、腫瘍の種類もたくさんあります。ちなみに腫瘍(しゅよう)とは、ある細胞が正常の量を超えて増えて、かたまりを作った(しこり)・・・という状態を示す言葉です。癌という意味ではありません。良性の腫瘍もあれば悪性の腫瘍もあります。

腫瘍は生きている細胞が分裂するときに遺伝子にミスが入り、そのミスが(たまたま)細胞が増えるような作用を持ってしまった時にできます。皮膚には表皮細胞(皮膚の表面を覆う最も強固な壁で、最終的に垢になります)、メラノサイト(メラニンを作る)、ランゲルハンス細胞(免疫)、メルケル細胞、毛、皮脂腺(分泌されたアブラは皮膚の表面を多い、バリアになります)、立毛筋(猫のように立ちませんが、あるのです)、エクリン腺(体温上昇時の汗、緊張したときの汗(手足))、アポクリン線(腋や股、腋臭の原因)、などの皮膚に特徴的な構造のほかに、全身どこにでもある神経、血管、線維、リンパ球、などのたくさんの細胞が存在しています。これらの生きている細胞に遺伝子の変化が起きれば、異常な増殖を起こします。1種類の細胞から様々な形態や性質(良性、悪性・・・)を持つ腫瘍ができますから、その種類は大変多くなります。本書は「こんな腫瘍はこんな顔つきをしていて、悪性度はこんなである・・・」というように皮膚にできる腫瘍を分類して定義している書籍です。

手足のメラノーマとホクロ(色素細胞母斑)、アザ、蒙古斑、について執筆に参加させてもらいました。

WHOのサイトはこちら

WHOサイトの解説

The WHO Classification of Skin Tumours is the 11th volume in the 4th edition of the WHO series on the classification of human tumours. The series (also known as the Blue Books) has long been regarded by pathologists as the gold standard for the diagnosis of tumours, and it is an indispensable guide for the design of evaluations, clinical trials, and studies involving cancer. These authoritative and concise reference books provide an international standard for anyone involved in cancer research or the care of cancer patients. Diagnostic criteria, pathological features, and genetic and other associated molecular alterations are described in a disease-oriented manner.

This volume updates the existing ICD-O codes and provides new codes for use in epidemiology and cancer registration. It also provides information on clinical features, pathology, genetics, prognosis, and protective factors for each of the tumour types covered.

The editors expect that this volume will be of particular interest to pathologists, oncologists, and dermatologists who manage or research skin tumours. Sections are included on all recognized neoplasms (and their variants) of the skin and its adnexae. Since the previous edition, there have been particularly substantial changes to the classification of melanoma, based on the latest information from genetic and molecular studies.

災害時はお薬手帳を持って来て

昨日の地震で大きな被害が出ています。私の勤務する札幌中心部の病院とその周囲に限って言えば、建物の被害は全くなく、被害の原因の唯一が停電でした(関係者のご尽力により昨日午後に復旧しました)。病院に電気が来ないと何が起きるのか、ということを記録しておきます。

病院にはいざという時のために非常用電源(自家発電)設備が用意されています。しかし、燃料の備蓄はせいぜい2‐3日分でしょうか。大事に使わないといけません。したがって、電気の使用は人工呼吸器などの生命維持に必須の機器が優先されます。前任地でも落雷によって電力供給がストップしたことがありましたが、まずコンピューター(電子カルテ)は使えなくなります。予約の患者さんが来ても、病気の種類も処方内容もわかりません。お薬は受診日に合わせて処方していますから、お薬が出せないという事態はとても困ったことになります。

そんな時、もしお薬手帳だけでも持って来てもらえば、医師(主治医でなくても)は安心して処方箋が書けます(もちろん手書きです)。一度にたくさんのお薬は処方できませんが、病院の在庫に合わせて数日分(場合によっては2‐3日分)は処方できます。コピー用紙に患者さんのお名前と患者さんの番号と処方内容を書いておけば、復旧後に手書きの紙をスキャンして電子カルテに取り込めばきちんとした診療録(カルテのこと)になります。お薬手帳をもらっていない方は薬の袋に入っている処方内容の紙でもOKです。災害時はみんな混乱しています。何から手を付けてよいかわからないことも多いです。でも、お薬手帳の大切さを覚えていてもらえると助かります。

患者さんの診察券やスマホにある程度の診療情報が入っているシステムは必要(患者さん自身が自分の情報を持つ)だと思いますが、災害時は、その情報さえ読み取れないということになります。スマホの電池用量も徐々に減っていきます。これは心細く感じました。やはり紙は大切です。

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皮膚科にかかるときに必ず持って来てほしいもの・・・お薬手帳

四角い(長方形の)皮膚炎

天文学を含めた物理現象や生物の世界で自然な形は球体でしょうか。皮膚科の世界も同様で、皮膚炎や腫瘍の多くは球(半球)や円などの丸い形をしています。水面に小石を落とした時に波紋が周囲に広がっていきますが、皮膚の炎症も同じように周りに広がっていきます。最初に小石が落ちるという原因の始まりが1回で、短時間に原因がなくなってしまえば、中心部の振れは落ち着いていきますが、広がる波紋の最も外側は大きく振れたままさらに外に向かっていきます(津波のような感じです)。この場合は外側が濃い赤で中心部が治っていくので皮膚炎は輪になります。

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輪(環状)になる皮膚炎

光アレルギーでしょうか?

前置きが長くなりました。したがって四角、三角のような幾何学的な形をした皮膚炎(発赤)を見たときに皮膚科医はまず外からの原因、特に、かぶれ(接触皮膚炎:せっしょくひふえん)を疑います。

四角い皮膚炎で一番多い原因は湿布(シップ)です。特に痛み止めの湿布薬+紫外線の両方によっておきる皮膚炎(光接触皮膚炎)は、昨年湿布を貼ったところに今年になって急に赤くなる(今年は湿布薬を使っていないのに・・・)ことがあります。光接触皮膚炎について、とても分かりやすい説明をしてくれている薬剤師さんのサイトを見つけました。”薬歴公開by ひのくにノ薬局薬剤師”です。やはり構造式が大切なんですね。

シシャモナイの滝

 

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お山の診療所2018

今年も行けました。昨年は体力的にきつかったので、今年は少し準備をして、かつテーマは”疲れないように登る”で行きました。景色や花などを愛でながらも結果、50歳代ベストタイムで登れました。お盆明けで登山者も少なかったこと、天気がとてもよかったせいでしょうか、患者さんは0でした。こんなこともあるんですね。でもよかった。今日19日で夏山臨時診療所は閉所です。関係者の方に感謝です。

本当に久しぶりにチキンラーメンをいただいた。

 

癌の治療中に出現した皮疹への対応

癌の治療中には、いろいろなトラブルが起きます。癌自体による症状だったり、治療中の薬によることもあります。また、癌とは関係ない持病に対する治療薬によるもの、免疫低下や免疫亢進(免疫が強くなる・・・免疫チェックポイント阻害薬、オプジーボ、キイトルーダ、ヤーボイ、バベンチオのように免疫を強くする薬など)に伴うもの、そして癌とは関係なく出る皮疹もあります。皮膚のトラブルに限らずその原因は様々です。

皮膚のトラブルで紹介いただいたときは、その重症度と原因を評価して、なるべく癌の治療が続けられるように主治医の先生に返事を書きます。これは皮膚科に限ったことではなく、すべての科の先生が普段行っていることで、皮膚がんを扱うわれわれもしょっちゅう他の科の先生のお世話になっています。しかし、原因自体がわからないことも少なくありません。その場合は重症度を評価して、現在の癌の治療が続けられるかコメントします。「続けてください、あるいは一旦中止してください」とはっきりとコメントできればいいのですが、あいまいな答えになってしまうこともあります。

癌の治療中の患者さんの皮膚に何らかのトラブルが起きた時にどのように考えて、対応したらよいかということを、Cancer Board(医学書院)という雑誌に個人的な視点で書かせてもらいました。あくまでも一人の皮膚科医の考えであり、皮膚科医全部に共通した考え方ではない可能性が多々あります。(一般の方むけの書籍ではありません。)

癌治療に伴う”危険な皮膚障害の診かたと考え方”

Cancer Board vol 4, 2018 医学書院

特集1
皮膚科専門医が教える!がん治療に伴う“危険な”皮膚障害の診かたと考えかた

The first part
皮膚科専門医が教える危険な皮疹の見分けかた
iCTCAE Gradeにおける皮疹の重症度を皮膚科医として見てみる
紫斑(出血斑)
斑状丘疹状皮疹
皮膚潰瘍
蕁麻疹
水疱
皮膚の乾燥
多形(滲出性)紅斑
紅皮症
スティーヴンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症
薬疹の原因検索─皮膚科医の問診
パターンで考える薬剤中止と再投与

The latter part
症例で学ぶ危険な皮膚障害の診かたと考えかた
case1 水疱
case2 多形(滲出性)紅斑
case3 免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害
case4 皮膚の乾燥とスキンケア

夏に出るかゆい皮膚炎

医師になった30年前、皮膚科の外来患者さんの数は夏と冬でだいぶ違いがありました。圧倒的に夏は患者さんが多くなります。空調などが整備され、その傾向はだんだんなくなってきた感じがしますが、やはり夏の方が冬より患者さんは多いと思います。夏は汗をかきますし、高温のために感染症も増えます。暑い時期に起きうる症状と主な原因をまとめます。汗(塩水)によって涼しい時期には起きないかぶれや感染症が主な原因です。

週末は天売でカヤック 絶滅危惧種ケイマフリが魚をくわえてと飛んでいきました。

ウトウが夕方から夜にかけて巣穴の雛に餌を届けに帰ってきます。届けた後は海に帰ります。雛はずっと一人ぼっちです。届けにきたウトウと餌を奪おうとして待ち構えるウトウ(ずるいやつがいる)とカモメと海に帰るウトウが交叉して大変なことになってます。

カタクチイワシ?をたくさんくわえて帰還

餌が来なくなる(親が来なくなる?)と巣を出て崖から飛び降りて飛行体制をとって海に向かうそうです。こんなんで飛べるんだろうか?と思いました。今季初(ガイド弁)の巣立ちを迎えてよちよち歩いてでてきた雛です。

ウ二の処理法を教えてもらいました。

天売はとても良いところです。

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2018年 日本皮膚科学会総会(広島) 勉強になったなぁ

5月最終週に広島で皮膚科の学会としては最大の総会がありました。1日半しか出席できませんでしたので駆け足でポスターを見て歩きました。さすがに日本中から教育的な発表が集まっていました。いまさらですが私が感心した内容をまとめておきます。ちょっと専門的で、このブログの本来の目的である患者さん向けではありません。自分の備忘録です。

標高300mの縦走?路 三角山から大倉山へ 久々に晴れました

初めて来ました やはりここを滑り降りれる方の気がしれない

これは先週の大通 よさこい、ですね 札幌は毎週なにかイベントがあって、短い夏をきちんすごそうという熱意を感じます(個人的な印象です)。なにか制約があったほうが単位時間あたりの想い出は濃縮されるのかもしれません。

 

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メルケル細胞 Merkel cell

メルケルという言葉で一般の方が思い浮かべるとしたらドイツの首相でしょうか。でも皮膚科医や病理医は(きっと)皮膚に潜んでいる細胞、メルケル細胞が真っ先に浮かびます。1875年にメルケルさんが光学顕微鏡で発見しました(普通の顕微鏡です。電子顕微鏡と区別するためにこんな呼び方をします。)。現在、私たち使っている光学顕微鏡の最大の拡大倍率は1000倍です。約150年前の顕微鏡はもっと倍率が低かったと思いますが、メルケル先生は皮膚の神経とつながっている(表皮の細胞より)小さい細胞があることを見つけました。きっと触覚(圧を感じる)に関係した働きをしているだろうと思われてきましたが、長い間その働きは解明されませんでした。2014年、コロンビア大学皮膚科の日本人研究者,仲谷先生、馬場先生によって触覚に実際関わっていることが証明されました。

表皮のメルケル細胞がやさしく触れられた刺激を受容して求心性神経に伝える機能を解明

昔、NHKの達人を紹介する番組で1000分の1㎜を指腹で感じることができる職人の方が紹介されましたが、あの技にはメルケル細胞が関わっているのだと思うとちょっとわくわくします(えらいぞ、メルケル細胞!っていう感じでしょうか)。

前振りが長くなりました。今、毎年恒例の米国臨床腫瘍学会(シカゴ)に来ています。今回はメルケル細胞から発生する?メルケル細胞癌の新薬のお話です。

学会場とダウンタウンのホテル間にはシャトルバスが随時走っていますが、乗ってみたかった電車で帰ってきました。100年以上の歴史を持つ高架鉄道です。むき出しの重厚な鉄の支柱がいい感じです。

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治験を探す

週末にメラノーマの患者会に呼んでいただきました。北海道のメラノーマ患者と家族のための勉強会&交流会

Over The Rainbowという患者会が東京で設立されてもうすぐ5年が経ちます。札幌では昨年第1回が開催され、国内で2番目とのことです。患者会の前日5月25日に免疫チェックポイント阻害薬のオプジーボとヤーボイの併用療法が承認されました。新しい情報を患者さんにお伝えできてよかったです。患者会ではいろいろなお話をうかがえて勉強になりました。病気を抱えながら会を運営する方々に敬服し、感謝します。

さて、メラノーマに関わらず、いろいろな治験(新薬や適応拡大のための試験)がたくさん行われています。治験を探すサイトをまとめておきます。1)今参加できるのか、2)どの病院でやっているのか?ということを探すのが一番の目的だと思いますが、後者はWEB上では各病院(大学)のサイトなどで探すしかないようです。正確さや問い合わせに対する個々の医療機関における混雑に対する配慮、手続きの関係から募集が施設ごとに異なる、など、正確性を期すためだと思いますが、もう少しなんとかならないかなぁと思います。

臨床研究情報ポータルサイト・・・リンク先に飛んで、フリーワード検索に探したい病名を入れます。たくさんの試験名が表記されますが、表の一番左に進捗情報という覧があり、そこに募集中とあればまだ参加できる可能性があります(試験に入るためにはいろいろ条件がありますので入れない場合もあります)。ただ、どの施設でやっているかは表記されていません。さらに試験名をクリックすると、問い合わせ先(メールや電話番号が出ています)が出てているサイトに飛びます。試験の内容や参加できる病院名はそこで聞くことになります。

オンコロ・・・がん関連の総合サイトです。新薬の承認状況などがリアルタイムに出ています。HP表紙上の「臨床試験」にカーソルを合わせると臓器別のがん名が出ますので、そこに飛びます。まずは、飛んだ先のページの病名に上に「初めての治験のお問い合わせする方へのお願い」という文面をクリックして、問い合わせ用の電話番号が出ていますので(試験の内容や治験に参加できる病院などの情報については)そこに問い合わせるのが手っ取り早いと思います。サイト内をいろいろ探すと「試験公開情報(詳細情報)」という項目がありますが、クリックしてもCliniclTrials.gov(海外を含めて治験情報を探せます)などの英語サイトへ飛びますので一般の方には敷居が高いかもしれません。

ライラックが満開です

根曲竹 旬です

毛染め剤にかぶれるようになってしまった 代替品は?

時々毛染めのかぶれで受診される方がいます。栗色にきれいに染まるのは酸化染毛剤という種類で、かぶれる場合はパラフェニレンジアミンなどのジアミン系成分が原因になります。やっかいなのは、パラフェニレンジアミン以外でも酸化染毛剤の成分は交叉性(1種類の化学物質にかぶれると、似たような成分にもかぶれる。たとえば白樺花粉症の方が桃でアレルギーを起こす・・白樺花粉と桃は外見上はまったく違っているが、同じ抗原・・・患者さんの免疫から見たら同じ成分を持つ)を示すことが多いということです。種類や美容院を変えても(酸化染毛剤を使う限りは)問題は解決しない場合があるわけです。

そして、残念ながら1回かぶれてしまうとその後は使えません。でも何とか髪を染めたいというときに、酸化染毛剤以外の製品はないか?というのが今回のテーマです。

以下の製品が使えるかもしれません。

ヘアマニキュア
シエロ オイルインヘアマニキュア(ホーユー株式会社)
ブローネ ヘアマニキュア(花王)
非酸化染毛剤
マロンマインドカラー(ヘンケルジャパン)
ナチュリエ ヘアカラー(アクセーヌ)・・・ただし店頭やオンラインショップから直接買えません。面倒ですが、皮膚科からの紹介が必要だそうです。
参考: 増井由紀子ほか、Visual Dermatology 17(5), 2018
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