お尻の穴が痒い

お尻の穴のまわりが痒い お尻の穴やそのまわりを痒がって受診される患者さんは少なくありません。相談するにも部位が部位ですから、我慢を重ねてから意を決して受診されたと思われる患者さんもいます。 さて、原因は?病名は?・・・・

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皮膚癌と生体時計と時限爆弾

皮膚癌と生体時計と時限爆弾

乳房外(にゅうぼうがい)パジェット病(癌)という皮膚がんがあります(病という名前がついていますが立派な癌です)。乳房という名前がついている理由は、乳房パジェット病という乳癌の一種が本家だからです。この疾患には変な性質があります。 それは、陰部の乳房外パジェット病と診断された患者さんの腋を調べると、時に片方、稀には両方に乳房外パジェット病の早期病変がみつかることがあるのです。 つまり、生まれてから数十年以上後に癌化するよう目覚まし時計がセットされていたとしか考えられないのです。目覚まし時計というよりは時限爆弾でしょうか。

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蚊に刺された!!なぜ俺だけこんなに腫れるんだ!!

子供の手足にすごく痒い腫れものができた。虫刺されかな?外にも出ていないのに。 これから虫に刺される季節が来ます。蚊などに刺されると痒く盛り上がった赤い発疹ができます。特に子供では、大型で水ぶくれになったり、じくじくした状態になるなど、大人に比べて激しい症状を呈します。また、症状に気づいた日は1日家にいて、外には出なかったと言う患者さんも時々います。また、初めて訪れた場所で虫に刺され、それまでにない激しい症状が起きて皮膚科を受診し、「この土地の虫は毒が強い」と不満をもらした患者さんもいました。 ・・・虫の種類と個人の問題だろうと思っていました・・・ しかし・・・

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戦争と皮膚科

戦争と皮膚科
戦争に勝つためには武器の開発などに莫大な研究費(?)がつぎ込まれます。しかし、開発された(あるいは軍事には応用できなった)技術の中には、身近な生活に活用され、本来軍事目的であったとは思いもよらないものもあります。
たとえば、インターネットやGPSなどがその代表でしょう。医学でも、体の中にできた結石を体外から衝撃波で破砕する装置は、第二次世界大戦でドイツが開発に失敗した潜水艦を破壊することを目的にした技術の発展したものである、などと記載があります。
皮膚科関連ではどうでしょうか。
日焼け止めは、ベトナム戦争で戦う米軍兵のために開発されたのが始まりといわれています。ミズムシの薬もそのようです。また、アルギン酸塩という綿状の製品があります。これで創を覆うと浸出液でゼリー状になる創傷被覆剤です。止血作用もあって非常に優秀な製品で、私も日常的によく使用します。これも、一説には、ヨーロッパ戦線で足りなくなったガーゼの代替品として昆布から作った製品とのことです。
10年程前に私の施設に売りに来た超音波診断装置(エコー)は、A4のノートタイプのモニターと非常に小型のプローブ(体に当てて超音波の発信と受診を行うバーコードの読み取り機のようなもの)からなっていました。そのころ私が使用していたエコーは事務所のコピー機ぐらいの大きさだったため、新しい機械のコンパクトさに驚きました。小型化が成功した理由を聞いたところ、やはり、最近民間に放出された米軍の技術を利用したとのことでした。恐るべし軍事技術。
純粋に医療技術のためだけであれば、軍事ほど予算はつかないでしょう。医学の分野内の研究だけでは、上記のような技術の発展は少し先送りになったかもしれません。ただし、決して軍事関連の研究の意義をたたえる気はありません。ヒトは何を最も優先するのかという疑問が本日のお題を選んだ理由です。

爪を丈夫にするには何を食べたらいいですか?

爪を丈夫にするには
薄くてすぐささくれてしまう爪
何層にも裂けてしまう爪
「爪を丈夫にするには何を食べたらいいですか?」

時々患者さんから質問を受けます。
・・・カルシウムをとりなさい・・・・?
・・・牛乳を飲みなさい・・・・?
・・・バランスのいい食事をしなさい・・・
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爪の根元の白い部分は健康のバロメーター?・・・爪と内臓の病気(2)

爪の根元の白い部分は健康のバロメーター?
爪と内臓の病気(2)

前回の続き・・・・爪の根元はナタデココ
爪の根元に白い部分が三日月状にみられます(みられない場合もあります)。爪半月といいいます。
この白い部分がたくさんあると健康で、見えないと不健康である、というような話を聞いたことはありませんか?

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爪の根元はナタデココ・・・爪と内臓の病気(1)

爪の根元はナタデココ
爪と内臓の病気
また、変な題名をつけてしまった。
爪は身体の部品としては、骨などに次ぐ固い組織です。爪を作る元の部分は爪の付け根から数mm手前の皮膚の下にあります。爪母(そうぼ)といいます。この部分は半透明で柔らかくプリプリしていて、まるでゼリーのようです。とても柔らかいのです。ですからこの部分を強く圧迫したり、爪母の上の皮膚に炎症があると爪が変形してしまいます。
話題変更・・・
爪は健康状態を反映する、とよく言われます。ネットで検索すると、爪の変化とそれに関連する全身の病気について多くのの記事がヒットします。

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体がすごくだるくて、高熱が出て、赤い発疹がたくさん出てきた。

ツツガムシ病

ツツガムシ病という高熱と全身に発疹がでる病気があります。ツツガムシというダニが吸血のために食いついている間に、リケッチアという細菌の一種がダニの体内からヒトなどに感染して起こる病気です(国立感染症研究所)。

体がすごくだるくて、高熱が出て、体に発疹が出る病気はたくさんあります。でも、ツツガムシ病を必ず忘れないようにしておかなければならない理由は以下です。

1.治療しないと死ぬ場合がある。

2.よく使う抗生物質(ペニシリン系、セフェム系)が効かない。が、テトラサイクリンなどを使うと直ぐによくなる(1日以内に下熱して、うそのように患者さんは元気になります)。

ツツガムシ病を疑うポイント

 1.虫に食われたあとがある:「刺し口を探せ」・・・教科書に出ている診断のポイントです。でも、ちょっと気をつけなければならない点があります。  

(1)刺し口は1cm大にもなり、表面がぐちゃぐちゃしているか、真っ黒なカサブタがついた痛々しい状態を示しますが、痛みも、痒みも非常に軽く(症状がない場合も多いように思います)、患者さんはほとんど自分では気づきません。だから、医師が探さないといけません。

(2)刺し口は下着の中が多い。ブラジャーやパンツの中などが多いのです。簡単な診察では見つかりません。

 2.季節が限られる:その土地の温度によって好発時期は変化しますが、私の地域では現在は春と晩秋に好発します。 「ゴールデンウイーク明けと農作業がおしまいになる晩秋の時期に、強いだるさ、発疹、肝機能障害、などをみたらツツガムシを忘れるな!」と先輩の先生に教えられました。今が時期ですね。気を引き締めて明日の外来に臨みたいと思います。なお、新潟の先生には、「昔は信濃川の花火大会(夏)の後が危なかった」、と聞いたことがあります。昔多かった古典型は夏に発症したのです。

3.畑や山仕事の後などに発症します。

話題変更 何年か前、新聞に、・・・「”つつがなし”の語源は、ツツガムシ病のような病気にならずに、である」と出ていました。なぜか郷愁を覚える「つつがない」という言葉と、自分が関わったことのある病気との関係を知り、なんだか感心してしまいました。本当に目からウロコでした。 ところが、今回、これをお題にしようとネットで調べたところ、事実はそれほど単純ではないようです語源由来辞典

妖蟲図鑑文献 より引用、・・・むかしつつが虫といふむし有て人をさし殺しかるとぞ。されば今の世にもさはりなき事をつつがなしといへり。竹原春泉『絵本百物語』「恙むし」の項の詞書きである。『下学集』(古辞書の一つ。1444年成立。著者不明。)には斉明天皇の治世(西暦655~661年)に、石見(現在の島根県)は八上の奥に「つつが」という虫が発生したとある。この説話の原典は、前漢時代の文学者東方朔(前154~前93)が記したという『神異経』であると思われ、・・・・中略、東方朔の著というのもどうやら根も葉もない噂のようで、どこまで信用して良いのかわからない。 ・・・

信濃川のつつがむし (身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌)より引用、・・・一番気になったのは「開発原病」としてのツツガムシ病の側面である。(中略)1754-5年には新発田藩から派遣された普請奉行は、そのあたりは恙虫がいるから立ち入りたくないという農民の抵抗をはねつけて普請(河川沿いの新田開発だろうか?)を進めたという。蒲原によれば、「つつがむし」の「つつが」というのは、もとはといえば病気を表す「つつみ」という万葉時代の表現が転じて「つつが」になったそうである。だから「つつがなく」という表現は、病に罹らずにという意味であり、「ツツガムシに刺されることなく」という語源だと解するのは、「いみじき僻ごと」だと本居宣長が糾弾しているそうである。蒲原宏「越後恙虫病雑記」1-3, 『日本医事新報』no.1620(1955), 2191-2194, no.1625(1955), 2745-2747, no.1671(1956), 51-53.・・・・

「身体、病気、医療の社会史」の研究をされている先生のブログです。ツツガムシを調べていたら、ついに本居宣長まで出てきてしまいました。なんだか感動しました。上の文献、読んでみます。

さて、古典型のツツガムシが1970年代にほとんどみられなくなったのは、環境の変化で虫が生きられなくなったのでしょう。でも、1980年代から新型ツツガムシの報告が急増(国立感染症研究所の資料)したのはなぜなんだろう。

 

昨日マンゴ食べたでしょう?

よくある皮膚の病気
昨日マンゴ食べたでしょう?
それもマンゴの皮についた果肉を下の歯でそぎ取るように食べたでしょう?
皮膚科にかかる患者さんの多くは湿疹皮膚炎群といわれる疾患です。アトピーやかぶれなどが含まれます。特にかぶれは原因を見つけられれば再発を防ぐことができるので、原因探しはとても大切です。患者さんに根掘り葉掘り聞いていきます。うんざりとした顔をなさる方もいますが、ここは踏ん張り所と問診を続けます。
そんな中で、一発で原因がわかる症状を示すかぶれがあります(はずすことも多いですが、たまに当たると嬉しいので(気持ちは子供ですね)、一応、○○食べませんでしたか?、と聞くことにしています)。
マンゴはウルシ科で、時にかぶれることがあります。口の周りが真っ赤になり、小さい水疱などを伴い、ウルシのかぶれに似ます(カールのおじさん状態)。聞くとほとんどがマンゴの皮についた果肉を下の歯でそぎ取るように食べた、とおっしゃいます。サイコロ状に切ってあるものを食べた場合は口の周りに果汁は余りつきませんが、そぎ取るように食べると果汁がつきやすいのでしょう。
マンゴを初めて食べたのは、多分大学入学後だったと思います。サイコロ状になった黄色い果物を初めて食べたとき、とろけるような甘みに加え、南国の香りがしました(沖縄にも海外に行ったことはなかったのですが)。パイナップルやメロンの上を行く高級果物の存在を知ったのでした。ある日、好奇心からマンゴを1つ買って家に帰りました。真ん中に包丁を入れたところ、種に当たって切れません。少しづつ外側にずらして切れ込んでもまた種に当たってしまいます。かなり大きい種が果実の中央を占拠していることがわかった頃には見るも無残な状況になっていました。情けないやら、腹立たしいやら、これほど恨みを感じた果物は他にありません。今でもマンゴを見ると、内部を占拠する種が透けて見えるような気がします。

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