コラーゲンは本当に肌によいのか?

いろいろなアレルギーを疑ったときに、最初にすることはお薬、健康食品のチェックです。先日、肌のために、補助栄養食としてコラーゲン(コラーゲンペプチド)を飲んでいるという方がいました。
コラーゲンは皮膚の重要な成分だ(私もそう思う)→だからコラーゲンをたくさん食べれば→皮膚にコラーゲンが増えて→美しい肌になる・・・というのが宣伝文句です。
でもコラーゲンを飲むと、本当に皮膚にコラーゲンが増えて、肌は美しくなるのでしょうか?たぶん普通の皮膚科医(私も含めて)にこんな質問をぶつけたら、多くは意味がないだろうという答えが返ってくるのではないでしょうか(推測です)。
ちょっと調べてみました。皮膚に効くというデータもあるんですね。
nozawana musi
暖かくなりました。越冬野沢菜と虫(名称不明)。


体は食べたものから作られます。
お肉を食べる・・・胃腸の中で吸収されやすい小さいサイズであるアミノ酸まで分解される・・・アミノ酸が吸収される・・・体の中でアミノ酸からいろいろなたんぱく質を作る・・・いろいろなたんぱく質が集まって臓器(筋肉や皮膚)を作る(維持する)。
アミノ酸をロゴの1つのブロックだとすると、ブロックを10個使ってコラーゲンを作り、コラーゲン(ブロック10個)が100個集まって膠原線維(こうげんせんい:皮膚の線維)を作り、膠原線維(ブロック1000個分)が多数集まって、皮膚の真皮を作る・・・という具合です。食物を食べるばあいはこの逆のパターンで吸収されます。
ただ、お肉を食べたら必ず体の中でお肉(筋肉)を作るために使われるわけではありません。ロゴブロックは、いろいろな形のものが作れますが、体も一緒です。お肉として食べても、体の中ではいろいろなものに姿を変えていきます。
生物を少し覚えていれば、コラーゲン(吸収されるのは変性したコラーゲンペプチド)を飲んでも、やはりアミノ酸に分解されて吸収され、体の中ではいろいろなものを作るのに使われるので、特に皮膚だけに行くことはない・・・と理解します。
ただ、調べてみると、食べたコラーゲンが関節に集まっていることが確認されたネズミの実験があったり、関節リューマチなどの患者さんに対して効果があった論文が少なからずありました。関節の病気には効く可能性があるかもしれません(結構驚きでした)
参考にしたサイト
石見先生(コラーゲンの安全性と機能性
浅賀先生(コラーゲンを食べるとどうなるの?)
皮膚はどうか?
必ず取り上げられるデータが矢澤一良先生の(2006)「コラーゲンの摂取によるヒト皮膚への影響.二重盲検比較対照試験による評価」『Food style 21』10, 30-34です。コラーゲンを取った方が、肌の水分量が上がったというデータです。
20名の女性を10名づつ二つのグループに分け、片方にはコラーゲン、もう一方のグループには偽のくすりを飲ませて、肌の水分量を比べています。飲んでる錠剤のみかけは一緒ですので、自分がどっちを飲んでいるかわかりません。薬をあたえる研究者もわかりません。もちろん、薬袋にはNoがついていて、どれが本物かということは本部では把握してます。二重盲検比較対照試験(にじゅうもうけんひかくたいしょうしけん)といいます。ある治療法や検査を比べるときに行う検査の中では一番信頼性の高いものです。
ただ、ちょっと症例の数が少ないですかね。皮膚の水分量の測定値はかなり不安定ですし、シワの評価も結構難しいものです。研究を実際に行ったのがコラーゲンを売っている会社という点も気になります。
東京医科歯科大学の春日井先生(論文へ)の同じような試験では、皮膚の水分量に差はなかったとのことです。ただ、角層の水分保持能はコラーゲンをとったグループのほうが高かったので、コラーゲンが効いているのではないかと推測されておられます。40名の試験です。ただ、コラーゲンは真皮(すりむくと血が出るレベル)、角層は皮膚の表面にあり、全く構造や成分の異なるものです。角層にはコラーゲンはありません。
まだ効果のほどははっきりしていないという段階でしょうか。
昨夜は「かすべ」(エイのヒレ)の煮付けとから揚げを食べました。ゼラチン質の身とプリプリした軟骨がおいしかったです。「明日の朝はツルツルの肌ね」なんていう話題は出ませんでしたが、こういう会話には水をささないように注意します。どうせ食べるならおいしくね。
関連記事:エビ、カニ、魚のアレルギー

「コラーゲンは本当に肌によいのか?」への3件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    赤ら顔が悩んでます。
    酒さ、毛細血管拡張症と病院の先生に言われました。
    レーザー治療で治るとインターネットでレーザー治療のある皮膚科は結構みます。
    私が行った皮膚科はソフトレーザー(ジェネシス)を行っているところで「レーザーをあてるとコラーゲンを促進させせて、皮膚の張りをもたせるとともに、微少血管を収縮させます。治療には5回から10回必要です」と言われました。
    レーザー治療は皮膚にダメージを与えるのに本当にコラーゲンが促進されるのか、治療目的である赤みは無くなるのか?すごい疑問をかんじます…
    先生ならレーーザー治療を患者に勧めますか?長期に渡り保存療法をしてきましたが、レーザー治療をしようと考えて、このブログにたどり着きました。
    先生の酒さ治療、又はレーザー治療についての考えを教えてください。
    よろしくお願いします。

  2. SECRET: 0
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    酒さ、顔の血管拡張に対するレーザー治療について
    チリチリと細い血管が頬からあごにかけて広がっている状態でしょうか?これには色素レーザー類が効きます。米国の皮膚科学会誌にも効果があったという論文が掲載されています。この論文に基づいてアメリカの代表的な医師向け電子教科書UpToDateでも勧めています。日本のいくつかの施設からも効いたという報告が出ています。この色素レーザーは血管内にある赤血球が特別に良く吸収する(結果として発熱する)波長を持ちますので、熱によって表面の血管のみが壊れます。酒さや血管拡張に効くレーザーは色素レーザー(波長585nm),ロングパルス色素レーザー(波長595nm),ロングパルスKTP:YAGレーザー(波長532nm),血管全体を標的とするロングパルスNd:YAGレーザー(波長1064nm)などです。(一部山下理絵先生(湘南鎌倉総合病院 形成外科・美容外科の論文より転載)。
    ソフトレーザーと色素レーザーは全く違うものです。色素レーザーはとても高価な機械です。インターネットで色素レーザー治療を行っている医療機関を探し、まず電話で問い合わせてみるとよいと思います。
    私自身は、色素レーザーを使ったことがありません。ニキビの治療薬やフラジールという薬から自家で作った外用薬などを試しています。フラジールは全体にボヤーと赤い場合には効くことがありますが、固定してしまった血管拡張には効きません。色素レーザーがよいと思います。

  3. SECRET: 0
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    返答ありがとうございます。
    私の症状は頬と鼻が日焼け、酒に酔っているような赤みです。2年くらい前までは鼻横、頬骨あたりが少し赤く、1センチくらいの血管が浮きだしていましたが、今現在は全体が日焼けした後のような赤みがあります。色素レーザーは血管のみに効果があると理解しましたが、日焼けのような赤みをどいにか治らないかと色々調べているのです。
    又色素レーザーはダウンタイムがかなりあるということなので、今の現状の生活では難しいので色素レーザーには手が出せない状況です。
    また色々調べて不安なことがあれば相談にのってもらってもよろしいでしょうか?

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