ヘナでショック? 毛染めでショック?

前の記事の続きです。
毛染め、特に酸化染毛剤・・・一般的に良く売られているもの(ヘアカラー)・・・パラフェニレンジアミンやパラアミノフェノールを含むもの・・・がよくかぶれるという話を前回書きました。
ただ、かゆいだけなら時間がたてば治りますが、我慢して使っているうちにアナフィラキシーショック(蜂のショックと同じです)をおこす危険性があります。実際に死亡例が報告されています。私の同僚も普通の毛染めでかぶれるので、ヘナで染めたところショックをおこした患者さんがいたことを報告してます。


ヘナはアレルギーを起こしにくいのに変だと思って調べたところ、製品には「ブラウンヘナ」と表記されていて、実はパラフェニレンジアミンが入っていたのです。
純粋なヘナだけでは淡い赤か淡い褐色にしか染まりません。それも白髪であれば色はつきますが、黒髪はほとんど染色されません。ヘナで髪の毛が濃く染まる場合は必ず他の色素が入っています。
平成19年の国民生活センターの調査「酸化染料を含むヘナ白髪染め・・・未承認製品について」があります。
「ブラックヘナ」あるいは「ケミカルヘナ」という名前で売っている商品で「医薬部外品」の表示のないものをネット上で調べて購入し、含まれている成分を調べた研究です(酸化染毛剤は医薬部外品に入ります。染毛料は化粧品です。・・・わかりにくですね)
7商品を調べたところ、すべてにパラフェニレンジアミンが入っていて、さらにその濃度はヘナの入っていない通常の酸化染毛剤に含まれる濃度(それもかなり濃い)と同じであったとのことです。
国民生活センターの同じような試験「ヘナ含有白髪染めの染毛効果」で、「医薬部外品」表示があるヘナ含有製品には、1例もジアミン系は入っていなかったとこことです。しかし、調べた12商品中6商品・・・半数には「ヘナ」の表示があっても「ヘナ」の主成分が確認できなかった(入っていない?)。白髪に対する染毛効果はパウダー製品のみ(染め時間を延ばし、繰り返し染める必要あり)で、クリームとシャンプータイプは全く効果なし。ほとんどは含有する藍などの他の染め剤によって染まっていたようです。・・・ということは、普通の黒髪を染める目的で「ヘナ」の入っている製品を買う意味はない・・・ということでしょうかね?
国民生活センターの結論は、”毛染めでかぶれたことがある人「ブラックヘナ」や「ケミカルヘナ」、「化学染料を含む」の名称がついている毛染めは買わないほうがいい”となってました。上記の名称で売っていて、今回調べた商品は「雑貨品」とか「人毛カツラ用」などとなっていたようです。ネットなどで「ヘナ」関連の製品説明をみますと、[ヘナ]についての説明が延々と続きます。でも実際に染めているのは他の成分であるということに注意しなければいけないですね。「ナチュラル」とか「自然の」とか「天然の」という形容詞は人をひきつけますが気をつけないといけませんね。「ヘナ」自体には責任はないのですが。
もちろんジアミン系の酸化染毛剤にかぶれない方は、特に注意は必要ないということになります。
話題変更・・・・
他に、毛染めで全身に皮疹がでることがあります。
普通かぶれは原因物質がついたところしか症状は出ませんが、全身にかゆい皮疹がでてしまうことがあります。接触皮膚炎症候群(せっしょくひふえんしょうこうぐん)といいます。全身に出るので、普通は飲み薬や注射薬など、体の中に入った薬によるアレルギーを疑います。ところが、特に陰部や肛門などに使用していた塗り薬で出ることがあるのです。
山口赤十字病院皮膚科西岡先生の研究(接触皮膚炎症候群33例のまとめ)では原因ランキングのトップが毛染めでした。
接触皮膚炎症候群の原因ランキング
ヘアダイ13例
ゴム製品12例
外用剤7例
その他3例(重複例2例を含む)
外用剤で多いのは非ステロイド性消炎鎮痛剤のクリーム。ステロイドが入っていなくて、解熱鎮痛剤や消炎剤が入っています。「ステロイドが入っていないので安心ね」・・・なんてことはありません。昔は顔の皮疹や赤ちゃんの皮膚炎に良く使ってました。たいして効かないのにかぶれることが多いので私は全く使わなくなりました(使ってはいけないということではありません)。ブフェキサマック(商品名はアンダーム)です。市販のデリケートなところにも安心・・・とかいうクリームでなった方もいました。また膣剤や痔の座薬(含まれる抗生物質)もあります。

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