体にまん丸い発赤が1個出て、だんだん拡がってきた。体もだるい。

肩や体に直径30cmほどにもなるまん丸い発赤(ほっせき)、または輪のような発赤が出て、だんだん大きくなってきた。発赤はほとんど症状がない。体がだるかったり、筋肉も痛む。
最近、山や森に入ったことはありませんか?
丸い、あるいは輪のようになった(環状:かんじょう)発赤の中央にダニが喰いついていたことはありませんか? ライム病という病気があります。
突然かゆみのない輪のような発赤がでたときに最初に疑う病気は、ライム病のほかに膠原病のシェ-グレン症候群とSLEのお母さんから生まれた赤ちゃんにできる皮疹があります。シェーグレン症候群はせいぜい大きくても10cm以下で、たくさんできることもあります。輪の周囲がかさかさしている場合は白癬(はくせん:水虫)もあります。
今回はライム病について。
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ガガンボ
庭にいたガガンボ


ライム病はマダニに喰いつかれたときにマダニからボレリアという病原体が体に入っておきる病気です。ボレリアは梅毒と同じスピロヘータという菌の仲間です。
マダニは木の上にいて下を通る動物に飛びついて喰いつき、血を吸います。民間では「ササダニ」などとも呼んでいます。
ときどき喰いついたマダニを取ってくれと皮膚科外来に患者さんが来ます。首や上半身に喰食いついていることが多いようです。普通は喰いつくときも吸血しているときも痛みも痒みもありません。最初の大きさは5mmほどですが、お腹いっぱいになるまで吸うと、1cm程度まで大きくなります。くすんだ紫色をしています。生きていれば1週間ほどくっついています。全く症状がないためか、イボができたといって受診される方もいます。
治療は引っ張ってとると、ちぎれて喰いついている口がはずれ、皮膚に残り、あとでしこりになることがあります。ですから局所麻酔をして繰り抜いて取ります(傷は3-4mmですみます)。その後ビブラマイシンなどの抗菌剤をしばらく飲んでもらいます。菌を殺すためです。
マダニに喰いつかれた方すべてがライム病になるわけではありません。運悪くボレリアが入り込んで増えると、食いつかれたところを中心にして丸い発赤あるいは輪のような発赤が出て拡大します。これはほおっておいても自然に消えます。菌が生き続けると、しばらく経ってから顔面神経麻痺などの神経症状が出てくる場合があります。この症状が自然に消えて、でもまた時を経て違う症状が出てくるというのは梅毒に似てます。でも日本ではライム病で皮膚以外の症状を起こすことは稀です。もちろん注意は必要です。
ライム病・・・学生時代に初めてこの名前を聞いたとき、なんだかうまそうな病名だなと思った記憶があります。その頃は焼酎のライム割を良く飲んでいました。本当は、アメリカ、コネチカット州、ライムというところで原因不明の関節症状を訴える子供が何人も出て、マダニが媒介する病気であることがわかったため、この名前がつきました。

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