紅色陰癬(こうしょくいんせん)という皮膚病があります。
腋の下や陰部(股の付け根)などに薄い赤茶色の皮膚炎ができて、少しカサカサします。
こすると細かい粉状のアカが落ちます。かゆいときもあるし、かゆくないときもあります。
皮膚科にかかると、まず白癬(はくせん、たむし、みずむし・・・すべて同じ病気)やカンジダ、癜風(でんぷう)などのカビによる病気を疑って検査をします。カサカサのアカを顕微鏡で見るだけの簡単な検査で、カビであれば数分以内に結果が出ます。
でも紅色陰癬(こうしょくいんせん)は細菌(さいきん、ばいきん)による病気ですから普通のカビの検査ではわかりにくいのです。この病気には抗生物質の軟膏が有効です。でも股の皮膚炎でカビがみつからなければ普通は弱めのステロイド軟こうなどが処方されます。治りません。ちょっと治りにくい股の皮膚炎があったら考えなければいけない病気です。単純な真菌の検査ではわかりにくいのですが、この病気は紫外線を当てるとサンゴ様の紅色の蛍光を発するのです。
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紅色陰癬は蛍光ジフテロイデスという細菌でなります。この細菌はポルフィリンという物質を産生します。このポルフィリンという物質が蛍光を発するのです。
紅色陰癬以外にも癜風(でんぷう:背中や胸に小さい白やピンクや薄茶色のシミがたくさんできる。こすると細かい粉が落ちる)も紫外線を当てると黄金色から橙色に光ります。でも癜風は顕微鏡検査で簡単に診断できるのでわざわざ紫外線をあてる必要はありません。
でも、紫外線をあてるだけで菌の存在が予測できれば楽でいいなと思いました。最近はホクロの検査などに使用するハンディーな偏向拡大鏡(ダーモスコピー)が普及してきました。この機器に紫外線ランプがついたものもあります。ちょっと調べてみたら、過去にカビと蛍光発生の関係について調べた研究はたくさんありました。正常な皮膚でも蛍光を発生する部分があったりして、なかなか難しいようです。特に熱帯の暑い地域のヒトには正常な皮膚に蛍光が良く観察されるようです。常在(ふだん特に問題なく住み着いている)の菌が結構いるということでしょうか。
さて、紫外線、蛍光、カビといえば、猛毒のツキヨタケが思い出されます(かなり無理やり)。