妊娠初期、特に20週ぐらいまでの間にお母さんがミズボウソウ(水痘:すいとう)になると先天性水痘症候群といって生まれた赤ちゃんに奇形がでることがあります。問題が起こる率は12週までの早期で0.4%、13週から20週までは2%だそうです。20週以後にかかった場合は(出産直前を除いて)問題はおきませんが、赤ちゃんが1歳未満で帯状疱疹になるようです。
妊娠早期に妊婦さんが水痘になったときに抗ウイルス剤を使用したときに生まれてくる子どもへ影響はどうなのか?最近帯状疱疹に関する講演で先生が最新の論文を紹介されていたので、ちょっとみてみました。
Pasternak,JAMA. 2010;304(8):859-866. doi:10.1001/jama.2010.1206
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妊娠第1期(妊娠期間9ヶ月を3分割した最初の期間、3ヶ月目まででしょうか)に3種類の水痘ウイルス用のお薬について出産後の赤ちゃんの奇形発生率をみたものです。1996年から2008年までのデンマーク
での調査です。染色体異常や遺伝性疾患や奇形を起こすことが知られている原因があった場合や他のウイルス感染歴があった場合は除いた約84万人の赤ちゃんについて調べたデータです。
結果
アシクロビル(商品名:ゾビラックス):奇形発生率は2%(1561例中32例)
バラシクロビル(商品名:バルトレックス):奇形発生率は3.1%(229例中7例)
ファンシクロビル(商品名:ファムビル):奇形発生率は3.8%(36例中1例)
薬剤を投与していない残りのグループにおける奇形発生率は2.4%だったとのことです。
著者たちの結論はゾビラックスとバルトレックスについては、使用がが奇形発生率を上げることはないということです。ファムビルは症例数が少ないのでなんともいえないということですね。
こういう大型の研究結果があると少し安心しますね。