日本皮膚科学会雑誌の最新号に3名の患者さんの記事が出ていました。島根大学皮膚科(千貫先生)からの報告です。
ある石鹸を使い始めて1ヶ月から半年後に洗顔後から涙、鼻水、まぶたや顔の赤みや腫れ(じんましん)などが出るようになったようです(症状の組み合わせは患者さんごとにそれぞれ)。しかし、お話はこれで済まず、顔があかくなるようになって1―3ヵ月後、小麦製品を食べてから(運動して)まぶたのむくみや全身のじんましん、呼吸困難などが出るようになったそうです。
小麦成分のグルテンを処理した成分である加水分解小麦によるアレルギーだそうです。
厚生労働省の医薬食品局からも注意報が10月に出ています。
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錦市場 おいしそうな漬物がたくさん
全身の蕁麻疹や涙や鼻水や呼吸困難などは、食物依存性運動誘発型(しょくもついぞんせいうんどうゆうはつがた)アナフィラキシーですね。食べ物だけでは起きない。運動だけしても起きない。あるものを食べて運動すると起きる。アスピリンなどの鎮痛剤を前もって飲んでおくとさらにおきやすくなる。
アレルギーはある成分に対して体が嫌だと反応して起きる病気ですから、少なくても1回以上、そのある物質が体内に入らなければいけません。今回の記事の3名の患者さんは石鹸で顔を洗っているうちに石鹸に含まれる成分(加水分解小麦)に感作(かんさ:体がある物質に反応するように体の免疫が変化してしまった状態・・・すいません。いつものように大まかな説明ですからだいぶ本質とはずれていると思います)してしまったようです。
顔を洗う・・・アカが取れる・・・免疫学的に敏感になる・・・いろいろな物質がしみこむ・・・感作される・・・アレルギーが起こった、なんていうストーリーでしょうか(あくまでも私の個人的な印象です)。
今回報告した島根大学の先生達は最後に、「1施設でこんなに短い期間に3名もの患者が出たということは、隠れている患者がもっとたくさんいるかもしれない」と述べておられます。加水分解小麦+商品名で多くの商品がヒットします。見逃さないように注意せねばいけません。
さて、話はまた脱線しますが、先月学会で京都に行ったときに錦市場にある有名な生麩(グルテン)のお店で生麩まんじゅうを立ち食いしました。おいしかったです。