乾いた咳が続いているうちに熱と唇のただれと体に二重丸の皮疹がでてきた

何日か乾いた咳が続いていた。
そのうち38度台の熱も出るようになった。
唇に水疱ができて、口の中もただれてきた。痛くて物が飲めない。口が開かない。
そのうち体に二重丸のまん丸い赤い皮疹や水疱が出てきた。薬のアレルギー?
マイコプラズマの感染かもしれません。


風邪症状があって(薬を飲むことも多いですね)、唇や口の中が全体にただれてきた場合は注意が必要です。粘膜皮膚眼症候群(ねんまくひふめしょうこうぐん)あるいはスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome)の可能性があります。薬か病原体に対するか免疫の異常反応です。薬や病原体によって沸き起こった免疫活動が自分自身を攻撃し始めた現象です。免疫の反乱(あるいは訳がわからくなって暴走を始めた免疫反応)です。口以外に眼や陰部の粘膜もやられることがあります。薬剤でおきた場合はすぐ薬をとめて適切な対応を行わないと命にかかわる危険性のある皮疹です。皮膚科医がもっともビビる皮疹の一つです。
病原体の中では、ヨウ連菌、マイコプラズマ、ヘルペスウイルスなどによっておこることが多いようです。今回はマイコプラズマについて。
マイコプラズマは一応細菌の仲間ですが、他の細菌と違って細胞に壁がありません。そのため壁に作用するペニシリンやセフェムなどのよく一般に処方される抗菌剤が効きません。マクロライドやテトラサイクリン、ニューキノロンが効きます。風邪薬を処方してもらっているのに熱が下がらないでどんどん悪化してきた・・・という経過をとる1つの原因になります。
コホコホと空咳が何日か続いているうちにレントゲンを撮ったら肺に陰が見つかり、肺炎と診断される方もいます。皮疹はそんな頃に出始めることがあります。いろいろ治療を開始していますので、担当の先生は薬剤アレルギーを疑ったりします。
マイコプラズマ感染はIgMという抗体の有無を血液で調べると30分以内に結果が出ます。感染の初期数日程度では抗体が十分にできていない(体側の反応はゆっくりです)ため陰性のことも少なくありません。また、子どもの場合は数ヶ月以内にかかったことがあると血液に反応が残っているため(あるいはだらだらと産生を続けている。体側の反応は治った後もゆっくりです)、本当に今回の感染を反映しているのか判断が難しいこともあります。本来は2週間ほどあけて血清をとり抗体価がどの程度上がったかを見るのがよいのですが、2週間後にわかっても問題はすでに終了していて、意味が?という場合もあります(診断がはっきりするという意義はあります)。
マイコプラズマ感染によっておきる皮膚症状は多彩です。本当にいろいろな症状を呈します。多形滲出性紅斑(たけいしんしゅつせいこうはん)、水疱、膿疱、ばら色粃糠疹(ばらいろひこうしん)などなど。体全体が真っ赤になって下肢がバンバンにむくんだ方もいました。成人以後ですと皮疹だけで風邪症状をともなわない方もいます。怪しい場合はマイコプラズマの検査を行うようにしています。
さて、多形滲出性紅斑は二重丸から4重丸ぐらいまでまん丸い少しもりあがった真っ赤な皮疹がでる病気です。5mmから大きなもので数cmまでに成長します。一番外側が濃い細い赤丸、その内側にピンク丸。時間が経つとピンクの内側に濃い赤、その内側に白っぽいピンク・・・と輪が増えていきます。真中が水ぶくれになることもあります。免疫が皮膚を攻撃して皮膚が浮いて下に水がたまってきた状態です。
今年は年明け早々から記憶にないぐらい久しぶりにつらい風邪をひきました。体はつらいが眠ることにも限界があります。子どものころは病気で学校をしょっちゅう休みました。家で寝ていると、天井の木目や壁のシミがいろいろな形に見えて(熱があったせいか形が変わる?)、いろいろ想像しながら1日寝ていたことを思いだしました。暇でつらい記憶がよみがえりました。今の天井はきれいな正目(本物なら高級な)のプリント板で、すぐに飽きてしまいました。岩崎氏のブログをみたら、同じようなことが書いてありました。

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