草津温泉と皮膚

職場の仲間と一泊で草津温泉に行って来ました。
PH2の強い酸性のお湯です。温泉街の中心に湯畑という木の樋が何本も並ぶ湯の冷却場(?)があります。黄色の硫黄がたくさん沈殿しています。
草津1
kusatu 2
sirane 3
白根山火口湖 昔は中に下りられたんですが、今は立ち入り禁止です。
akurqannbo
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温泉は昔から皮膚病に効くと言われています。
皮膚科でも硫黄溶液はニキビや酒さ、寄生虫の疥癬(かいせん)の治療薬として使用してきました。現在、ニキビにはディフェリンに抗生物質の軟膏や内服が中心になってきて、私の場合は硫黄水溶液は全く処方しなくなりました。酒さに対しても硫黄製剤(クンメルフェルド液)を処方した時代もありましたが、今では全く処方しなくなりました(私個人の好みですので処方自体を否定するものではありません。)。ニキビや酒さ(赤ら顔)に硫黄が使われた根拠というのがよくわからないのですが、にきびや酒さ(特にステロイドの副作用による酒さ様皮膚炎)ではニキビダニ(Demodex)が毛穴にいますので、硫黄でダニを退治する、あるいは硫黄は乾燥しますので、脂肌の解消の目的で使用したのかもしれません(すいません。調べてみましたが根拠は見つけられませんでした)。
また、疥癬(かいせん:人から人へ感染するダニ:老人介護施設などで広がることがあります)にはきちんとした治療のあと、硫黄製剤の入浴剤(ムトウハップ)を勧めた時代もありましたが、この製剤を使用した自殺が多発し、販売が終了しました。
つまり、医学的に処方してきた硫黄製剤の使用理由はダニなどの寄生虫や乾燥だったのかもしれません。
根拠はありませんが、今の皮膚病の多くは洗い過ぎによる皮膚バリアの破壊(バリアである角層(垢:アカ)の取りすぎ)だと個人的には思っています。長くお湯につかることによって、皮膚がふやけて(角質バリアが壊れて)、アカスリでバリアが剥がれ落ちて、もともと持っていた保湿成分がお湯に溶け出し、水を保持できない状態や外からいろいろなものが入りやすい状態ができるのではないかと思っています。
白濁した温泉は(個人的にはとても好きですが)、入浴後にかなり皮膚に刺激感が残る気がします。アトピーがある方はかなり乾燥してかゆくなる可能性があります。
温泉が傷に効くという言い伝えをよく聞きます。戦場で負った傷を温泉で癒したという故事が多く残ります。例えば、PH2の高酸性のお湯につかることが本当に傷によかったのでしょうか(エビデンスは全くありません。あくまでも個人の空想の世界です)。
戦国の世であれば刀傷でしょうか。昔(実はつい最近まで)は傷は濡らしてはいけない(水も不衛生だった?)という考えにより、きっと布や包帯でぐるぐる巻きにしていたかもしれません。ほぼ100%細菌感染が起こったと思います。敗血症から菌の毒素によるショックで亡くなることもあったかもしれません。きれいな水は湧き水以外には手に入らなかったかでしょう。
私なら毎日1回温泉の湯に、しみる場合は1リットル当たり9gの塩(もしかしてJINのようにタイムスリップした場合に備えて調べてみたところ、一升(1.8L)に4匁8分の塩になりました)を入れ、毎日洗った(湯につかった)と思います。洗うことにより細菌感染はかなり防げた可能性があります(もちろん草津の湯でなくても真水+0.9%の塩でもよかったかもしれませんが、冷たいよりは暖かいほうが入りやすいですよね)。温泉の湯にはいろいろな化学物質が溶け込んでいるので真水よりは塩を入れなくてもしみないかもしれません(PH2の酸性の強いお湯は傷にしみるかもしれませんが)。
関連記事:真水は傷にしみる
もしTVドラマ「JIN」の時代に、自分や周りの人が大き傷を負って、抗生物質(TVでは製造してましたが)やきれいな水や清潔な布がなければ(たぶんないでしょう)、私は近くの温泉に塩を持って行って、毎日傷を洗うと思います。
草津の湯は肌にきついのではないかと思っていましたが、透明で、意外と問題なく入れました。心なしか皮膚もしっとりしたような感じがします(あくまでも個人の印象です。為念)。温泉に入ったあとはたいていかゆくなるんで(でも好きだから入ります)、草津の湯はちょっと意外でした。年々湯温が下がり、酸性度も弱くなっているそうです。火山活動の沈静化に関係しているという説もあります。草津を紹介したベルツ博士(東大に招請されたドイツ人医師)の妻”花”の伝記が旅館の部屋にあったので少し目を通しました。著者は神経性皮膚炎(今のアトピー性皮膚炎でしょうか)で小児期に一人で草津温泉に湯治をしていたのだそうです。

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