今年も1週間が過ぎました。年末年始、春休み、ゴールデンウイーク、夏休みは海外に出かける方が増える時期です。(実際そのような患者さんを見ることはあまりないのですが)発熱や皮疹が出た患者さんで直近に渡航暦がある場合は緊張します。周りの人に染る可能性のある伝染病だと困るからです。特に開発が進んでいない(自然の豊かな)暖かい地域の感染症を見ることがほとんどないため、病気に対して知識が乏しい(私自身の問題ですが)ことも恐れる理由です。(外国に行く予定のある方は、厚生労働省検疫所のHPで情報を得ることができます:最新情報として、ガーナで黄熱、メキシコでデング熱、フィリピンでレプトスピラ・・・なんて出てます)。
今日送られてきたMedical Tribuneという医学新聞に、昨年国内で確認された麻疹(ましん:はしか)患者に外国で感染した症例がけっこうあったと出ていました。麻疹は日本での対策が遅れていた疾患で、海外に輸出する(日本人が海外に持ち込む)感染症として批判を受けていたことがあったので、意外でした。
スモークサーモン完成 1匹から4片(1片は味見でなくなってしまった)
国立感染症研究所のHPの感染症の最新情報より
上記サイトにでていた事例は、上海やインドネシアやオーストラリアへから帰国してから発症した患者さんたちで、ウイルスDNAの解析から滞在していた国によくあるタイプであることが証明されたそうです。
外国のめずらしい感染症のことばかりに気を取られていると足元をすくわれそうです。
さて、麻疹や風疹のように、熱が出て、体中に赤いプツプツができる病気は本当にたくさんあります。
高熱が出て、一旦下がったのにまた熱が出て、そのときに一致して皮膚にブツブツができてお互いにくっついて全体に真っ赤になる・・眼が真っ赤で鼻水や咳が出て重症感がある、口の中の頬の粘膜の奥の方に1-3mmの小さい米のカスのようなものがこびりついている(コプリク斑)、などが麻疹の特徴ですが、このような症状があっても麻疹以外の感染症の可能性があります。例えば、風疹、伝染性紅斑(でんせんせいこうはん:りんご病)、突発性発疹、伝染性単核球症(でんせんせいたんかうきゅうしょう)、HIVウイルスの感染初期、などなど。そして薬剤のアレルギーでも同じような症状が出ます。この辺の診断は皮膚科医の腕の見せ所であり、またストレスでもあります。
麻疹撲滅のために、現在は麻疹を診断した場合は全例保健所に届ける義務があります。しかし、症状が麻疹にそっくりで、血液でIgM抗体(麻疹に限らず感染症にかかったときに最初に増えてくる抗体(免疫グロブリン)です)が増えていても、血液やのどをこすった綿棒や尿からウイルス本体を検出する検査を行ってみると、風疹や、伝染性紅斑や突発性発疹のウイルスが検出されることが珍しくないようです。
特に2歳以下のお子さんに麻疹様の症状が出た場合は、突発性発疹のウイルス(ヒトヘルペスウイルス6や7)の感染症の可能性が高いようです。元記事はこちら
今回の記事は主に診断する側(医師側)の問題ですが、患者さんやご家族にお願いしたいのは、診断を詰めるために血液や尿やノドからの検査です。周りへの感染を予防するためです。
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