サンオイルって何が入っているんだ？　

毎年恒例の医学部山岳部が開設している夏限定高地診療所（お山の診療所）に行ってきました。初めて連れていってもらったのが1991年です。数年ほど中断がありましたが、ここ１０年ぐらいはほぼ毎年登っています。今回の登山中のよもやま話で「日焼け用オイルって何が入っているんだ？」という質問がでました。そういえばサンスクリーン剤についてはこのブログでも何回か記事にしてますが、日に焼くための製品については調べたことがありません。
そこで、今回のネタは、サンオイル（サンタンオイル、日焼け用オイル）についてです。
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朝焼けです

オンタケ、ノリクラ方面　渓谷を流れるは梓川（上高地方面）

遠くに富士山

診療所の布団を干しました

１）登山中の会話では、「オクソソラレン（皮膚科で紫外線効果を上げる増強剤）などが入っているのか？という疑問も出ましたが、基本的にはサンオイルには上記成分は入っていないようです。ただ、ソラレンはもともとオランダセリ科の種から取り出された物質であり、同類の成分フロクマリンを含む植物には他にもセロリ、ライム、ニンジン、パセリ、イチジク、アメリカボウフウ、カラシなどがあります。サンオイルにはなんだか植物成分がいろいろ入っているものも多いので、光感受性物質が入っているのかいないのかは自分が調べた範囲ではよくわかりませんでした。
でも基本的には光感受性物質をたくさん入れて早く黒くさせる？という目的はあまりないようです。
２）じゃあ、何がメインなのか？
オイルと軽い日焼け止め（UVB対策）のようです。日焼け止めが入っていないものもあり、これはSPF０と表示されています。SPFは紫外線Bに対する予防効果を示します。SPF２とか４とか示されていれば、結構厚めに塗ったときに2倍あるいは4倍日焼け（真っ赤になること、サンバーンといいます。）しにくくなることを示します。
つまり、UVBによる真っ赤になる作用だけ少し抑えて、UVA（UVBより長く、可視光の紫より短い範囲にある紫外線、長波長紫外線）による黒化（サンタン）の効果をメインにいただこうというねらいのようです。
オイルは紫外線の散乱や保湿などの効果を狙っているのかもしれません（わかりません）。
・・・日焼け用とかサンタンオイルという名称をあまり使わないのも、上記の理由によるのかもしれません（これもよくわかりません）。念のため、国民生活センターで調べてみましたが、サンオイルに関してとくに注意報は出ていませんでした（日焼けマシーン、人口日焼けについては注意報がでています）。
ついでに紫外線についてちょっと補足を・・・
光をプリズムにかけると、虹になります。一番左側に出る紫色の外側には何も見えませんが、ここに紫外線があります（紫の外の線です）。紫外線と可視光線はつながっています。紫色と紫外線の境界の波長は400nmです。ここからUVAです。さらにだんだん波長が短くなり320nmより短くなるとUVBといいます。さらに短くなって280以下になるとUVCとなります。ここで学生さんに「さらに短くなると？」と聞くとのりのいい学生は「UVD]と言います。答えはX線です。
話がそれました。UVAとUVBは一連であり、波長域を区切ってつけられた名称です。ですからUVAであってもUVBに近いところのものはUVBと似たような強い作用を持ちます。
さらに言いたいことにもどします。
こんがりと日焼けした肌には、メラニンが増えています。UVAは即効性に肌を黒くしますし、じわじわと後で黒くなる作用（メラニン合成の促進）もあります。UVBには即効性の作用はなく、メラニン合成促進作用がメインです。なので、真っ赤になる作用の強い（日焼けで苦しむ作用であり、発がんの原因の主）UVBを抑えて、うまくこんがりさせてやろうというのがサンオイルの目的といってよいでしょうか。
UVAにもUVBほどでないにしろ発がん作用があります。また、UVBより波長が長いために深くまで届くため、シワの原因になります。
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