前の記事を書くためにネットで調べていたら、次の論文を見つけました。山形県という地域特性もあるでしょうが、1つの例として興味があったので勝手に紹介させてもらうことにしました。都会のERではまた違った比率になるかもしれません。
塩谷信喜先生ほか(岩手県高度救命救急センター) による論文「当センターにおけるアナフィラキシー302例の検討」
今週末は新宿にいます。月に1-2度は東京に来ているのですが、泊まったホテルのエレベーターから初めてスカイツリーを見ました。
日本橋に家族の5/7集合。穴子をいただきました。
1980 年2009 年の29 年間の調査
症例数:302 例(ショックまで至らなかったアナフィラキシー患者の総数)
結果
平均年齢は48.0 歳。
アナフィラキシーショック(血圧が90㎎以下になった重症の患者さん)になった方:193 例(63.9%)8 例(2.7%)が心肺停止、4 例が死亡(3例は食物、1例は蜂)。
アナフィラキシーの主要原因
ハチ毒148 例(49.0%)
薬物89 例(29.4%)
食物58例(19.2%)
食物依存性運動誘発アナフィラキシー3 例(1.0%)・・・小麦や魚介類+運動+/-鎮痛剤で起きる
その他4 例(1.3%)
ハチ毒では,スズメバチ,アシナガバチによる被害が多かった(スズメバチ48 例(32.4%),アシナガバチ23 例(15.5%),ツチバチ8 例(5.4%),ミツバチ5 例(3.4%),ハチ種不明64例(43.2%))。季節は,8月が58例(39.2%)と最も多く,9月が44例(29.7%),7月が18例(12.2%)
*やはり7-9月が多いんですね。
薬物では,非ステロイド性解熱鎮痛薬,抗菌薬が多かった(非ステロイド性解熱鎮痛薬(NSAIDs)25例(28.1%),抗生剤16例(18.0%),市販薬10例(11.2%),局所麻酔薬8例(9.0%),造影剤8例(9.0%))。発症までの時間は麻酔薬5分から鎮痛剤30分以内が多かった。漢方は50分と症状の出るのが遅かった。
*麻酔薬もありますね。死亡例の1例はキシロカイン(局所麻酔薬)だったそうです。
食物では,海産物とソバが多かった(魚,ソバ,その他の麺類(ラーメン,インスタントラーメン,焼きそば),甲殻類,鶏卵,胡桃)。食物によるアナフィラキシー患者のほんとどはショックを起こしていた。
*こわいですね。
*山形の方は、あまりソバを食べないんだそうです。ソバでアレルギーを起こして運ばれたのは、名物のわんこそばを食べた他県からの修学旅行の学生や観光客だっとそうです。甲殻類が全国の傾向より少なめだったには三陸から鮮度のいい魚が上がるため、食する頻度が高いためではないかとのことです。地域性が出ますね。
最も多い初期症状は,
心血管症状(65.9%)
皮膚粘膜症状(42.1%)
うん。勉強になった。