アレルギーを含め、免疫反応は物質のとても小さな部分(抗原)を認識して発動します。その小さい部分が同じなら、まったく違う物質でアレルギーが起きてしまいます(交叉といいます)。例えば桃を食べて息苦しくなった患者さん(口腔アレルギー症候群:OAS)はもともと白樺の花粉のアレルギーがあり、白樺の花粉と桃に共通の抗原成分があったために桃で症状がおきる、などです。今回はセツキシマブ(商品名アービッタクス)という大腸がんや頭頚部がんのお薬にアレルギーを示す患者さんは牛肉や豚肉にもアレルギーがあったというお話です(高橋仁ほか、臨床皮膚科67(5)、2013)。
週末は京都に呼んでいただきました。ついでにゴッホ展と壬生狂言を見てきました。
京都は新緑に包まれていました。良い季節です。
セツキシマブというお薬でアレルギー反応が出る方は牛肉にもアレルギーを起こすことが知られています。セツキシマブの構造の一部のgalactose-α-1.3-galactoseがアレルギーを起こす原因部位でした。牛肉アレルギーは稀れですが、患者さんの血液を調べるとセツキシマブのアレルギーの基になっている原因とたぶん)同じ抗体を持っていることがわかりました。さらに、アメリカで牛肉アレルギーを持つ患者さんの発生地域とロッキー山紅斑熱というマダニが媒介するリケッチア症の好発地域が一致することも報告されています。マダニに刺された後にある抗原に感作され、それと同じ抗原が牛肉とセツキシマブにもあるということでしょうか。galactose-α-1.3-galactoseは類人猿にはない抗原だそうです。だからアレルギーの原因になるわけですね。なお、牛肉にアレルギーがある方は豚肉や鶏肉にも反応することがあるそうです。マダニ喰われて肉が食べられなくなったら辛いものがありますね。