ステロイド外用剤のかぶれとジェネリック

ステロイド軟膏はかぶれや湿疹を治すためのお薬です。その薬で逆にかぶれることがあるなんて信じられませんが、ときどきあります。かぶれはアレルギー(個人とある物質との相性が悪くなった状態)ですから、基本的にはどんな薬でもありうるということになります。
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外用剤は主人公のお薬とそれをちょうど良い濃度に薄める、あるいは塗りやすくするようにワセリンなどに溶かしてあります。主人公の成分を主剤、溶かす方を基剤といいます。ステロイド軟膏やクリームやローションではステロイド(副腎皮質ホルモン剤)が主剤になります。ワセリンは基剤になりますが、主剤と基剤の他に防腐剤や効果を高める?ようにいろいろな成分が入っています。病院でしか処方できない外用剤(医療用医薬品)より薬局で普通に買える薬(一般用医薬品)のほうが圧倒的に多くのおかず成分が入っています。手元にあれば箱や能書きをみてもらえばわかります。医療用は主剤、基剤、を含めて数種類以内のことが多いのですが、一般薬は7-8種類以上入っているものが多いと思います。一般薬には効きのよい薬剤や高い濃度を設定できない(効く薬は副作用も注意する必要があるので)、いろいろ入れてなんとか効果を高めようとしているのです。
さて、ステロイドの外用剤でかぶれた場合、主剤であるステロイド自体にかぶれる場合とステロイド外用剤に混ぜてあるおかずの成分で被れる場合があります。
後者の代表はリンデロンA軟膏やネオメドロールEE軟膏に含まれる硫酸フラジオマイシン(抗生物質)とマイザークリームに含まれるクロタミトン(オイラックスの主成分)です。ステロイドにかぶれているのではなく、混合されている他の成分にかぶれていることがあるのです。製品名にはまさか抗生物質やクロタミトン含有なんて書いてありませんから、知らないと混乱します。
リンデロンA軟膏やネオメドロールEE軟膏は眼、耳の外用剤の中では最もかぶれを起こすことが多い外用剤です。硫酸フラジオマイシンは痔核用の外用剤にも入っていることがあり、時々激しいかぶれを起こす方がいます。
クロタミトンは多くの市販の外用剤にも入っています。注意しなければいけないのは、先発品には入っていないのに後発品(ジェネリック)には入っている場合があるのです。
例えば、先発品であるデルモベート、アンテベート、メサデルム、トプシム、キンダベートにクロタミトンは入っていませんが、後発品であるマイアロン(デルモベートのジェネリック:以下括弧内は先発品)、ソルベガ(デルモベート)、アンフラベート(アンテベート)、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)、プロメタゾン(メサデルム)、メインベート(メサデルム)、プロメタゾン(トプシム)、シマロン(トプシム)、キンダロン(キンダベート)には入っています。逆にマイザークリームにはクロタミトンが入っていますが、マイザーと同じ主剤でクロタミトンが入っていないジェネリックがあります。
また、医師が処方する医薬品にはほとんど入っていませんが、水虫の薬などがOTC化(病院での処方専用薬としてしばらく使用されて安全性が確認されると、薬局での販売を始める製品があります。これをOTC化、一般医薬品化といいます)されるとなぜかクロタミトンやリドカインなどの成分を追加して入れるようになります。
以上、かぶれなければ問題にすることはありません。眼の周りに薬を塗っているのに皮膚炎が治らないなどという場合は、塗っている薬自体を疑うことも必要です。気付きにくいことですが。
ジェネリックがたくさん出てきて名前や成分を覚えられません。KEGG MEDICUS医薬品情報(http://www.kegg.jp/kegg/medicus/)では、成分名を入れると含まれている製品が調べられます。たとえばクロタミトンを含む医療用医薬品は79,一般用医薬品は285がヒットしました(2013年6月時点)。

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