酒さ様皮膚炎(3) やっぱ全部止めないとだめかも

顔に赤い皮疹ができた。いろいろな皮膚科にかかった。外用すれば少し落ち着くが、やめるとすぐにもとに戻ってしまう。ほてる。ヒリヒリする。ニキビみたいなものも出ている。何件か皮膚科をまわったが、治らないので内臓に病気がないか内科で検査をしてもらったがなんともなかった。
酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎)です。ステロイド外用剤による皮膚炎として有名ですが、単純にステロイド外用剤だけの問題ではなさそうです。今年の日本皮膚科学会東部支部で酒さ様皮膚炎の方の60%に香粧品のかぶれが混在していることが報告されていました(先生のお名前は追記します)。
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酒さ様皮膚炎はほとんどすべて女性です。ステロイド外用剤の中毒になっていることをよく説明し、外用を中止してもらいます。中止によって悪化します。顔が真っ赤に腫れあがります。1ヶ月ぐらいすると徐々によくなっていきますが、その間の辛さは尋常ではありません。メンタル的なサポートをしながらこの1-2か月を乗り越えます。プロトピックというステロイドではない免疫抑制剤の外用剤(アトピー性皮膚炎用で酒さ様皮膚炎に保険適用はありません)やルリッドなどの抗生剤でしのぐことも以前はしましたが、ここ数年はこのような治療もまったくしていません。数年前より、ステロイド外用剤の中止後の悪化が軽くなった感じがするからです。初診時にステロイド外用剤中止後に非常に悪化することを説明するのですが、意外と軽く済む方が多くなりました。
以前は、顔面の皮疹の悪化で仕事にも支障が出ることがあるため、ファンデーションで隠すのは、むしろおすすめしてた時もあります(当ブログの過去記事でもOKとしていました)。しかし、ファンデーションのかぶれがかぶっていた方がいたため、それ以後は石鹸もクリームもシャンプーが顔にたれるのも、化粧品も香料も、アロマもすんべて初診時に中止してもらうことにしました。ステロイド中止後に皮疹がひどく悪化しなくなったのはそのせいかもしれません。
話をもどします。先週の東部支部学会の発表では60%の患者さんが化粧品や石鹸や香料にかぶれていました。
酒さ様皮膚炎は本体は化粧品や石鹸のかぶれであり、ステロイドの外用でそのかぶれを抑えている。つまり臭いものにフタをしている。ステロイドを止めると当然かぶれの症状が出てくる。塗れば少しもどるがだんだん効かなくなる。酒さ様皮膚炎と診断される。ステロイドの外用を止める(が化粧品は使い続ける)。すごく悪化する。中毒だからステロイドの外用はするなと言われる。さらに悪化する。なんて方が結構いるかもしれないということです。簡単に「ステロイドのリバウンド」と片付けられない問題でしょうか。
でも化粧品の中止をお願いしなかった時代でも、私の患者さんの多くは、ステロイドをやめるだけでよくなっていきました。これはどうやって説明するのだろう。ステロイド外用剤と化粧品を同時に使用することが火種になっているのでしょうか?わかりません。でも、酒さ様皮膚炎は、とにかく外用しているものはすべてやめてみるとうことが大切かもしれません。

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