横浜に来ています。癌の基礎的な研究に関する学会です。初めて参加したのはもう25年ぐらい前になります。この間いろいろ流行り廃りがありました。私自身、久しぶりの参加です。皮膚がんに特化しない一般的な癌に関連する学会に参加する皮膚科医はもともと極めて少ないのですが、日本癌学会の参加者は特に少なくて10人もいないかもしれません。
今日の午後、癌研究に対するこれからの国家戦略ついてのパネルディスカッションがありました。会長のシカゴ大の中村祐輔先生、癌学会の重鎮のほかに、内閣府、厚生労働省、文部科学省の担当の方、そして患者団体の代表の方がお2人参加されていました。このような基礎的な学会のゴールデンタイム(学会中日の午後)に、患者さんの代表が参加し、さらに(痛い言葉を浴びせられるかもしれないのに)行政の方が参加するシンポジウムというのは珍しいのではないでしょうか。
癌対策のため癌対策基本法が施行されて30年経が経ちました。基礎研究の成果はあったかもしれませんが、創薬に関してはここ10年頭打ちで、輸入超過額は昨年1兆数千億、今年は2兆円程度になるのではないかとのことでした。基礎的研究では負けていないのに、実際の薬として患者さんのところまで届けるシステムが脆弱だと言われています。せっかく日本で生まれた芽なのに、育てるために外国にパテントを売り、外国で製品化する。これを高いお金を出して輸入するのはつらいことですね。