最近「むくみ」に関する記事がちょっと続いています。今回は以前からうすうす感じてきたことを少し。
むくみだけで皮膚科にかかることはあまりありませんが、何らかの皮膚疾患で受診された患者さんのむくみで相談されることは少なくありません。今回の症状と患者さんの背景は以下です。
高齢者
膝から下がむくんでいる
寝たきりではないが、自力で歩行はできない
寝たきりにならないように、日中は車いすに座っている
車椅子に座っているときに体がすぐ傾く、モゾモゾ動いている
過去の「むくみ」シリーズ
すねが赤くむくんでいる
半年前から左腕がむくんでいる
山で何かに刺された、腕が急に腫れてきた、物が二重に見える
リンパ節はどこにある?
足のむくみ、手足のしびれ、胃の手術
下肢のリンパマッサージの方法
足のリンパの流れ
秋に結実したパッションフルーツ 寒くなったので家の中に入れました。
1週間前より色づきはじめ、昨晩いきなり床の上にスコンと落下しました。この「熟したぞ」といういさぎよさというか、おおらかさが南国の果物らしくておかしかった。
介護が必要な方は、もともと栄養状態がよくない(血液中のタンパクが少ない)ことや高齢により腎臓などの機能も落ちているから、下肢がむくんでいても「まあ、しょうがないか」「利尿剤を飲んでいただくか」などと考えることが多いかもしれません。でも、長時間座り続けていることがむくみの原因になっている方も結構いるかもしれません。
自分で体をうまく動かせない場合でも、ベッドでずっと寝ていると床ずれ(褥瘡)ができやすくなったり、体力がおちて、寝たきりになってしまいます。したがって体を起こせる場合は、日中はなるべく椅子に座って起きてもらう時間をとるようにします。座るという姿勢を維持するだけでも、寝ているよりすっと体力を使います。
しかし、同じ姿勢で(もし自分で向きを変えたり、足の位置を動かせないとすれば)、例えば1時間、あるいは2時間ずっと座っている状態はかなりつらいことになります。私自身、電車や飛行機に1時間以上乗っていると膝から下が苦しくなります。足を前の足台に乗せたり下したり、体を右に向けたり、左に向けたり、手で下腿をもんだり、いろいろしたくなります。それでも2-3時間以上座っているとすねはむくんできます。
昨日は褥瘡に関する県内の研究会がありました。車いすに座っている高齢の方で、いつもどちらかに傾いてしまう方を、時々ベッドに移して休憩をはさんだところ、傾かなくなり、元気も出てきたという報告がありました。ずっと座っていることがつらかったので、できる範囲で体を動かそうとしていた可能性があります。寝ていても、起きていても、ずっと同じ姿勢を取る(体を動かせない)のはつらいですね。日本中どこでも介護の手は足りませんので、短時間に椅子からベッドへの移動を繰り返すことは介護者にとってかなりの負担になります。ただ、座っていることだって体力のない方には苦痛となることを知っておく必要があると思いました。
対応としては、足の接地面の高さを時々変えてあげる、椅子を低くする、体を少し前傾させる、(つまり姿勢を時々変えてあげる)、車椅子に座る時間を短くする、そして弾性ストッキングの使用などでしょうか。これらが本当に有効かは検証していません。私個人の印象です。