数年前から「掻かないようにね!」と言うのを(極力)止めました。かゆいから掻くのだから、掻くのはこっちの(皮膚科医)の責任だと思ったからです。じゃあ、なんて言っているかというと、まず、「かゆみを止められなくすいません」、次に(機械性蕁麻疹など、皮疹がないが、掻くと赤いミミズばれが出てくるような皮膚疾患には)「掻きたくなったら10-30数えてください。数え終わってもまだ掻きたければしょうがないです。掻いていいです」。
先週末は築地・汐留、今週末は日比谷。東京も新緑に包まれています。いい季節です。
他の部位には皮疹はないのに、首の付け根や手首などに長年続く厚くゴワゴワになった湿疹で受診される患者さんがいます。象の皮膚のようにごわごわになった古い皮疹を苔癬化(たいせんか)と言います(ここまで慢性化すると、かゆみはあまり強くありません)。1-2か月以上引っ掻き続けたことがわかります(患者さんが否定しても)。一番強いステロイドを3-4週間継続して塗ると結構治ります。でも再発も多いです。その範囲が数㎝程度なら、たぶんストレス解消のはけ口になっているのかもしれません。心の痛みのはけ口が数㎝の皮疹で済めば、まあOKでしょうか(すいません。完全な私見です。)。手首を指して、「掻くならここだけにしといてね」などと言うこともあります。