ワインとニキビ・・・という言葉を検索エンジンに入れると、ヒットするのは「ワインはニキビに効く?」などという記事ですが、今回は違います。ブドウにニキビ菌と似た菌がいた、というお話です。
出展
1.Interkingdom Transfer of the Acne-Causing Agent, Propionibacterium acnes, from Human to Grapevine
2. Acne bacteria spotted in grapevines
Dr Andrea Campisanoは、ブドウから抽出したDNAの中にニキビ菌と似た塩基配列の菌を見つけました。最初、彼らは、きっと自分たちの皮膚にいた菌がまぎれこんだのではないかと思ったようです。でも違ったのです。このブドウに見つかったニキビ菌に似た菌は遺伝子時計から7000年前にブドウに住み始めたらしいこともわかりました。この7000年前というのはヒトがワインを作り始めた時期と一致するそうです。つまり、7000年前にヒトからブドウに感染したニキビ菌がブドウに住めるように適応した可能性が考えられるとのことです。
親密な関係がある生物同士はお互いの持つ菌やウイルスをうつしあうことが結構あります。たとえばインフルエンザのように鳥からヒト、HIVのようにサルからヒト、結核は(意見が分かれていますが)牛からヒト(あるいはヒトから牛)、人のイボも牛のそれと塩基配列が似ています。でも、ヒトから植物にうつって、それが延々と寄生しているという今回のような事柄は初めての発見であるようです。
話は飛びますが、擬態という現象があります。ある植物に似た虫などの存在です。ダーウインがいうような選択だけではかなり非効率のような感じがします。根拠はありませんが、個人的には昔から、擬態はレトロウイルスなどの感染による形態を司る遺伝子の移行が関係しているのではないかと想像しています。夫婦が似てくるのもおなじかも?
さて、ニキビ菌は脂肪を分解します。ワインの風味の表現としてよく用いられる、落ち葉のような・・・というような風味はこのブドウに住むニキビ菌の作用かもしれません。
でも、この話題は、ワインを飲んでいる場ではしない方がいいかもしれませんね。