進行した皮膚がん患者を皮膚科医がみている国はとても少ない

世界皮膚科学会というなんだかすごい名前の会議に来ています。世界から1万5000人ぐらいが参加する数年に1回の会議です。バンクーバーの会議場は各会場のスペースが広く、またうまく配置されています。今日の午後は、ダーモスコピーと皮膚がんの治療に関するセッションが最も大きな会場で行われたのですが、参加者はあまり多いとはいえませんでした。特にメラノーマの治療のセッションはがらがらでした。演者が最後のスライドに「皮膚科医はメラノーマの治療を手放すな」というメッセージを出していました。
実際に転移を起こした皮膚がん患者を皮膚科医が診ている国は、私の知る限り、ドイツ語圏と日本だけですので、興味がないのはしかたがないのかもしれません。米国を含め多くの国では、最初の診断と生検と外来で処置できる軽症の皮膚がん以外は外科や腫瘍内科医に送ってしまうようです。
数年前、メラノーマの学会で「日本は最初の診断から積極的な治療ができなくなるまで皮膚科医がかかわっているのだ。」と胸をはって話したら、「日本は遅れているな。がんの治療体系が分業されていないのか」というコソコソ話を会場で聞いたと同僚に言われたことがありました。ある意味正しくて、かなりくじけました。ただ、まだ自分たちの方がきちんと診ることができると思ううちは(もちろんできないことやわからないことは専門の科の先生にお願いしているのは昔から一緒ですが)できる限りは患者さんと付き合いたいと思っている日本の病院勤務皮膚科医は少なくないと思います。
おいしいカキと小さいカップに表面張力ぎりぎりについでくれる(日本の屋台のコップ酒ののように)テーブルワインに酔って、愚痴気味のコメントになりました。
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