「アナフィラキシー(何かを食べたり、飲んだり、注射したり、刺されたりした直後に、眼が赤くなり、鼻水、鼻づまり、唇の腫れ、喉の違和感、息のしにくさ、喘息発作、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、全身のじんましん)を起こしました。検査お願いします」という依頼が良く来ます。アナフィラキシーの原因を見つけるための検査は命がけです。
先々週になりましたが広島に行きました。有名な庭園の玄関には新年の準備が
広島の朝焼けです。
アナフィラキシー(眼が赤くなり、鼻水、鼻づまり、唇の腫れ、喉の違和感、息のしにくさ、喘息発作、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、全身のじんましん)のような重症のアレルギーが起きた場合でも、原因物質は通常は1つです。その1つの原因さえ見つけることができれば、その他の物質(食物や薬物)は今まで通り摂取できるわけです。ショックが起きた時に内服していた、あるいは注射した薬剤が、将来使用しなくてもよければ、わざわざ検査はしませんが、通常は今後も使う可能性の高い薬物であれば今後使えるか使ってはいけないか知ることはとても大切な意味を持ちます。
原因物質を見つけるためには、皮膚に少量入れて反応をみる、あるいは皮膚に張ってみる、それでもわからなければ患者さん自身にお薬を飲んでもらう必要があります。検査部位の反応のみであればよいのですが、検査でもアナフィラキシーショックを起こす方がいます。命がけの検査になることがあります。即時型のアレルギー(原因物質が体内に入ってすぐ症状が出るアレルギー)の患者さん自身の皮膚で調べる検査は怖いのです。(化粧品や金属などのいわゆるかぶれの原因を調べるためのパッチテストは安全です。)
検査の依頼で多いのは歯医者さんからです。過去に歯科治療をしていたら具合が悪くなったと患者さんが言うので、使える麻酔薬を調べてくれませんかという依頼です。歯科治療は緊張するので具合が悪くなる方が結構いるようで(迷走神経反射といいます)、アレルギー検査で陽性になる方は極めてまれです。自分の経験では100人調べて1人いるかどうかの確率です。でもごくごく稀に本当に麻酔薬にアレルギーがある方がいるので気は抜けません。
検査には陰性コントロール(絶対反応しないと思われる物質でも検査する。普通は生理食塩水を使います。)をしのばせます。もちろん患者さんに前もって承諾いただいています。ところが生理食塩水でも具合が悪くなる方がいます。病は気から・・・と思われる現象です。そんなことをある講習会のディスカッションで話したとき、そばにいたある教授(蕁麻疹の専門家です)が言った言葉が心に刺さりました。「でもね。患者さんは実際に苦しんでいるんだからね」
大きく反省したのです。まだまだです。修業は続きます。