まん丸の輪の形の赤い皮疹を見ることがあります。個人的な印象では、一番多いのは、白癬(首や胸、背中や臀部、股にできた水虫)です。首から背、お尻、太ももの付け根にできることが多いと思います。患者さんはほぼすべて高齢者です。今やインキン、タムシは青年の病気ではありません。お年寄りの病気です。形は半円から完全な輪の形で、輪の部分はブツブツした皮疹が集まっていたり、カサカサしていたり、カサブタが付いていたり、小さい膿の粒が混じっていたりします。かゆいです。足の爪が白黄に濁って厚くなっている方が多く、多分この爪水虫からうつったと思われる方が結構います。
水虫以外で輪になる皮疹になる疾患は珍しいです。ですが、大事な病気が隠れていることがあります。まとめておきます。
久々に川です 上陸した中州に盛りのちょっと過ぎた芥子とミツバチ
輪のような皮疹の鑑別(かんべつ:何の病気か区別すること)は輪の部分の皮膚の状態が役に立つかもしれません。どれも珍しい病気です。
1.表面がすべすべ(正常)で触ってもしこりを触れない・・・つまりまっ平らで、輪の模様のみ
・・・ライム病:マダニ喰われてうつる病気です。抗生物質が必要です。皮膚科に行ってください。山登りやハイキング時に喰いつかれます)(年に1例ほど見ます)
・・・リウマチ熱:子供の溶連菌感染(30年の皮膚科人生で1人見ただけです)
・・・遠心性環状紅斑(えんしんせいかんじょうこうはん):字のとおり、輪がだんだん外に拡大していく皮膚炎です。ときどき、内臓のがんや血液の病気が見つかることがあります(私の経験では、基礎疾患(きそしっかん:原因となる全身の病気)が見つかることはとても稀です。薬を塗ってもなかなか治りません。
・・・上記3つには「かゆみ」はありません。輪になって、あるいは花びらの縁取りのような赤い皮疹でものすごくかゆくて、出たり引っ込んだりするのは蕁麻疹(ジンマシン)です。
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2.輪の部分が堤防のように少し盛り上がっていて、中心部も含めて全体的にしこりを触れる+表面正常(つるつる)
・・・サルコイドーシス:血液検査と胸のレントゲンと心電図を撮ります。組織球というやつが用もないのに増えてかたまりを作る病気です。(年に1-5人ほど見る)
・・・環状肉芽腫(かんじょうにくげしゅ):これも組織球というやつが用もないのに増える病気です。ほとんど皮膚のみで、サルコイドーシスのように内臓にはできません。たくさんできている方はSLEという膠原病や糖尿病が関係していることがあります。(1年に2‐3人は見る)
・・・円盤状エリテマトーデス:膠原病の一種です。頭にできると脱毛になります。
3.輪の部分が少し盛り上がっていて、そこの皮膚表面はガサガサしている(カサカサ、じくじく、ブツブツ)・・・白癬(水虫)パターン
・・・湿疹:丸くなることがあります。
・・・乾癬:丸あるいは花びらのようになることがあります。
・・・シェーグレン症候群:唾液や涙などの水を分泌する腺が攻撃される膠原病です。
・・・新生児エリテマトーデス:生後1-3ヶ月頃の赤ちゃんに1-3㎝の輪のような赤い皮膚炎ができます。お母さんがSLEという病気にかかっていて、お母さんの抗体(自分を攻撃するミサイル)が胎盤を通って赤ちゃんに移行して起きる病気です。赤ちゃんの皮膚症状からお母さんの病気が発見されることが結構多いです。
私は腕にできます。遠心性環状こうはんに症状が当てはまります。初めてできたのは3年前位。皮膚科に行きましたが分からないとのこと。胃潰瘍がひどく現在治療中‼確かに体力減り気味。心配になって来ました。きちんと治療したいです