たいしたことない仮説 パンダの模様

職場の仕事納めでパンダの線描だけの絵に色を付けるというゲームをやらされました(全員の絵が年報に載るようです)。香香(シャンシャン)が成長していく様(遊ぶ様子はほんとうにかわいいですね。木から落っこちても大丈夫なんですね。周りがほっとく様もすごいと思います。)を時々見ていたにもかかわらず、見ているようで見てないんですね。眼の周りは黒かったというほかは記憶が不確かです。私はなんとなく体の先の方が黒かったような記憶をたよりに、そうだシャムネコのような分布で色を付けようと思いました。耳、鼻と眼の周り、手足の先端です。心臓から遠くて温度が低い部位です。シャムネコはメラニンを作る酵素が特殊で、温度が低いときほど活性があがる(皮膚温の低いところほど黒くなる)のです。

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パンダの絵のキーポイントは両腕から背中につながる黒でした。鼻も尻尾も白でした。正確に描けませんでした。しかし、負け惜しみを。パンダの上背部は冬眠のための分厚い脂肪(ヒトでは赤ちゃんのときに上背部にある褐色脂肪組織など)のために皮膚温は低いのではないか、パンダの尻尾は短いので皮膚温は高めではないか。

・・・でもパンダは冬眠しないようですし、動物園にいたら冬眠のための脂肪を蓄える必要もないし、第一温度感受性の酵素なら色の産生がグラデーションになるはず(シャムネコ)だし、シャムネコと同じなら子供の時はあまり模様ができないはず、という反論が頭の中に浮かんできて、この「たいしたことのない仮説」はまちがいだろうという結論になりました。夜に考えた仮説はたいていぽしゃります。でもちゃんと検証しないとあとで悔しい思いをすることがあります。思い付きは大切にしないといけません。

さて、「たいしたことない仮説」ではなく、「大いなる仮説」という偉大な書籍があります。故大野乾先生の書籍です。「大いなる仮説‐DNAからのメッセージ」、「続 大いなる仮説―5.4億年前の進化のビッグバン」「未完 先祖物語―遺伝子と人類誕生の謎」は今でもときどき読み返します。1990年代の本です。実験医学という雑誌に連載されていた記事をまとめたものです。特集記事の多くは難しくて読み飛ばしていましたが、大野先生の記事だけは毎号どきどきしながら読んでました。多くの壮大な仮説のいくつかでも将来証明されたらいいなぁと思っていました。

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