先々週(5月後半)からマダニにとりつかれた患者さんが来るようになりました。虫を付けたままの方、引っ張って取ったけれど刺し口(口器)が残ってしまった方などです。私はマダニの種類は数種類程度かと思っていましたが、国内には47種類もいるんだそうです。内、喰いつかれるなどの被害の報告のあるマダニは18種類とのことです。(日本皮膚科学会HP: https://www.dermatol.or.jp/qa/qa19/q02.html)
マダニに喰いつかれても取れば済むことのように思われますが、問題はある種のマダニが持つ菌です。菌が刺されたときに体に入って問題を起こすのです。
ライム病:シュルツェマダニがもっているボレリアというスピロヘータ(梅毒の原因菌が属する菌類です)が感染しておきる病気(最初は刺されたところを中心に丸や輪のような発赤がでる。いったん消えてから顔面神経麻痺や関節炎などが起きる・・・最初の皮膚症状はいったん消えるけれど、しばらくしてもっと重大な問題が出てくる・・・という点は梅毒と似ています。むしろ刺されてから時間がたって症状が出るので原因がわかりにくいです。コネチカット州ライムというところで関節炎を起こす小児が多発し(当初リウマチ熱?と間違われていた)、ある小児科医がマダニとの関連性を明らかにしてこの名前がつきました。
重症熱性血小板減少症候群 (SFTS)
文字通り恐ろしい症状を起こし、死にいたることもあります。現時点で患者さんは関西以西に限られていますが、北海道を含む東日本のダニにもウイルスが確認されています(厚労省の説明サイト:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html)。これはウイルスですので、治療薬がまだありません。今、コロナ(OVID-19)で話題になっているアビガンの効果が期待されています。
マダニによる回帰熱
ライム病と同じようにボレリア(ライム病とは異なる)による感染症です。シュルツェマダニ(ライム病と同じ)に刺されて感染します。2013年に北海道で国内第1例が報告されました。“回帰“かいき”の字の通り高熱と平熱を繰り返します。
長くなったので、マダニに喰いつかれたときの対応は次に記事で説明します。