学校での感染拡大を予防するために、出席停止などの措置が定められている病気を「学校伝染病」といいます。3種類に分けてあります。1種はエボラ出血熱のような厳しい予防対策が必要な病気、2種には、飛沫(ひまつ)感染(みずぼうそうは空気感染ですが)により、よく学校ではやる病気(インフルエンザ、はしか、みずぼうそう、風疹など)が含まれます。この、1種(治癒まで)と2種(病気ごとに違う)は学校に行ってよい治癒の条件がきちんと定められています。
たとえば、
はしかは熱が下がってから三日間たてば出席可。
風疹は発疹が消えたらOK。
みずぼうそう(関連記事①予防接種 ②おにいちゃんがみずぼうそうになった ③帯状疱疹)はすべての発疹が乾燥してかさぶたになったらOK。
最後の3種については、扱いがゆるい病気が入っているのですが、この群の取り扱いがビミョウなんです。「出席停止期間は、学校医やそのほかの医師によって伝染のおそれがないと認めるまで」ですので、現場で意見が一定しない場合があるのです。 日野治子先生の論文(What’s new in 皮膚科学2008-2009、メジカルビュー社)より
皮膚科と小児科で協議して、統一した見解が出されています。
参考:学校伝染病についての臨床皮膚科医会の統一見解
結論からいえば、下記の病気は基本的には元気なら○
手足口病(てあしくちびょう):○基本的には学校に行ってよい。
発口の中が痛くてものが食べにくい、体がだるい、下痢や腹痛がある場合はお休みしましょう。症状が落ちついても、2-4週間も便にウイルスが出続けますから、出席停止よりウンチの始末や手洗いが大事になると、日野先生は言ってます。
りんご病(伝染性紅斑:でんせんせいこうはん):○学校に行ってよい。
具合が悪いときは無理せず休みましょう。発疹が出る前にはウイルスが出ているが、発疹が出たときは量が減っているため。つまり、症状がないときにうつっちゃうということです。日に当たる(紫外線にあたる)と皮膚症状がぶりかえしたりします。でも心配ありません。
ミズイボ(伝染性軟属腫:でんせんせいなんぞくしゅ):○
ただ、タオル、水着、ビート板、浮き輪などは共有しないこと。関連記事(ミズイボは何歳になったら治るのか?)
とびひ(伝染性膿痂疹 でんせんせいのうかしん):○
ただ、できてるところを全部被ってから、学校や幼稚園に行くこと。範囲が広い場合や熱があるときはお休みしましょう。病院に行けばすぐ治ります。関連記事(鼻の出口や手足がジクジク・・・)
頭虱(アタマシラミ):○
陰部につくシラミ(性行為感染症)とは種類が違います。よく幼稚園などで集団発生します。一人を出席停止にしても意味がありません。一人いたら、他にもいる可能性が高いので、みんなでいっせいに治療します。いじめ問題に発展しないよう保護者も含めて十分な配慮が必要です。