頭のフケがすごくて、かゆみもある。
マユゲとマユゲの間(眉間)が赤くてカサカサしている。
鼻のとほっぺたの境目が赤くて、油っぽくてカサカサする。
・・・脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)です。または脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)
前々回の記事で、皮膚科を受診する良くある病気ランキングについて書きましたが、その中で詳しくとりあげたことのない病気に、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)がありました。今回はこの病気について。
しょっちゅう見る、ほぼ毎日外来で診察する、軽症で内臓などの病気と関係のない、というような病気については実は教科書や文献にあたって勉強するという機会をとることは少ないんですね。教科書や一般の方向けの記事を頼まれた時を除いて。いつもワンパターンの診察と診療を行うことになります(私のことであり、皮膚科医一般がそうであるという意味ではありません。為念。)。
ということで今回はPnbMedという英語医学文献検索ページ(無料です)と医学中央雑誌(日本語文献検索サイト:有料です)で脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)について検索してみました。
ヒットしました。なんと医学雑誌の中でトップにランキングされる「The New England Journal of Medicine」という雑誌の昨年の版に総説(病気の全体について説明している文)が出ていました。この雑誌は創刊が約200年前という権威ある雑誌であり、そんな雑誌で取り上げていた記事ですからしっかり読んでみました。今回はこの論文に書いてあったことと、私自身の個人的な考えが混じりあった記事になってます(私の個人的な意見に(注)をつけました)
本題へ。
脂漏性皮膚炎は赤ちゃんの頭と大人の頭、顔、腋、陰部などにできます。毛が生えていて脂っぽいところにできるのでこんな名前になっているようです。油っぽいものをたくさん食べるとできる症状ではありません。赤ちゃんと大人では症状も治療も少し違います。
まず赤ちゃん。
生まれてから1-2ヶ月目より頭の前の方に黄色いカサブタがべったりついている。髪にからまっていて、ちょっと見た目が悪い。「ちゃんと洗わないからじゃないの?」なんて、横から言われることがある。でもシャンプーで洗っても良く取れない。赤ちゃんの脂漏性皮膚炎は大人と違ってかゆくないようです(直接本人から説明してもらったことはないのですが、特に引っかき傷もないのでたぶん)。生後3ヶ月の赤ちゃんの70%にこの症状がみられりようです。そして、ほとんどすべて1歳になる頃までに自然に治っていきます。心配いりません。背中の背骨に沿って小さい白黄色のブツブツガたくさんできていて、1mmの赤い皮疹(出血)がたくさん混じっている場合は特殊な組織球症という病気であることがあるので相談してください(めったにありません)
(注)でも、目立つ方には洗髪2時間前にオリーブオイルでカサフタを湿らせる。シャンプーで軽く洗う(1週間で全体を取るようにする。急がない。一度で取ろうとしない。一度にとると傷が残って、傷から水が出てまたもとにもどってしまう)。一度に取ろうとしないというのがミソです。また、完全にきれいな肌を出そうとすると。やはり傷ができます。少しカサブタを残しておくぐらいの余裕が大切です。(ここまで注)ステロイドの軟膏は赤みが強い場合などは短期間使うことがあります。またジクジクがひどい場合は抗生物質を使うこともたまにあります。
大人の脂漏性皮膚炎は次回へ