皮膚がん

日本人の皮膚がんについて、ちょっとまとめてみます。
MIA
Melanoma Institute Australia:オーストラリアのメラノーマの中心施設


日本人のすべての癌による年間の死亡率:10万人あたり約100人。
皮膚がんで亡くなる方は10万人あたり1人で年間日本中で1200人の方が皮膚がんで亡くなります。
皮膚がんで一番多いのは基底細胞癌(きていさいぼうがん)、次に有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん、別名、扁平上皮癌、へんぺいじょうひがん)、3番目と4番目が日光角化症(にっこうかくかしょう)、ボーエン病(共に扁平上皮癌のできはじめ)、5番目がメラノーマです。
メラノーマは珍しい癌ですが、皮膚がんで毎年亡くなる1200人の半分、500-600人ははメラノーマで亡くなります。
メラノーマは毎年、日本中で新たに1200-1500人が診断されると予想されています。ちなみにオーストラリアは1万人(人口は2000万人ですから、発生率は日本人の50倍です)、アメリカ合衆国は6万人を超えています(人口は日本の倍ですから、発生率は20倍)。ただオーストラリア人でメラノーマで亡くなる方は年間1200人ほどで、数だけ見れば日本人の倍程度です。
日本人は1200-1500人が毎年診断されて、500-600人が亡くなるので、患者の数の割りにたくさん亡くなっています。決して私ら皮膚科医がきちんと仕事をしていないとか、日本の皮膚がん医療が大きく遅れているというわけではありません。メラノーマの進行度ごとに区切って生存率をみると、日本もアメリカもまったく同じです。すでにリンパ節や内臓に転移している患者はアメリカ人やオーストラリア人で1-2割、日本人は3-4割です。
日本人にはめずらしい癌ですから、定期的な健康診断で皮膚がんのスクリーニングをすることは、医療経済上あまり意味がないという考えがあります。でも、なるべく早くみつける努力や患者さんへのアピールは必要だと思います。

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