蕁麻疹(じんましん)の診断や治療に関係する新しいガイドラインが日本皮膚科学会の最新号に出ました。
目に付いたポイントをいくつか。(つまみ食い的な紹介ですので、正確性に欠く部分もあるかもしれません)
1.蕁麻疹の患者さんに血液検査などをして原因が見つかる率は?
2.蕁麻疹を冷やすと症状は軽くなるか?
3.蕁麻疹にステロイド(副腎皮質ホルモン剤)の外用や内服は効くのか?
4.蕁麻疹に漢方は効くのか?
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野蒜(ノビル、私はノビロと呼んでますが)の花が満開 結構きれいです
ワケギの花も満開です
1.蕁麻疹の患者さんに血液検査などをして原因が見つかる率は?
1.6%だそうです(29論文をまとめたデータで、6462例中、原因と考えられるような結果が得られたのは105例だった)。うーん。予測はしてましたが少ないですね。網羅的(広く)に検査をした場合と、よーく患者さんからお話を聞いて原因になりうるような体の病気のみを検出する検査を行った場合とを比較した研究では、両者に差はなかったそうです。ピロリ菌陽性の方は除菌後、癌の方は治療後に蕁麻疹が治ることがありますので、むげに原因検索を放棄するなと書いてあります。あと、薬の利きが悪い女性の患者で、疑わしい場合(家族に甲状腺の病気があるときなど)は甲状腺の検査と自己抗体を調べろとイギリスのガイドラインには書いてあるそうです。
2.蕁麻疹を冷やすと症状は軽くなるか?
古くから冷却は痒みに効くということが知られているので、やってみてもいいよ、と書いてあります。解説では「やってはいけないとは言えない」という、微妙なニュアンスですが。
3.蕁麻疹にステロイド(副腎皮質ホルモン剤)の外用や内服は効くのか?
私は蕁麻疹(特に出てから1週間以内の急性の)患者さんにステロイドは基本的に処方しませんが、前医で処方されてくる患者さんは結構います。ガイドラインでは抗ヒスタミン剤で押さえられない急性期の蕁麻疹患者さんに数日以内であればステロイドの内服や注射をしてもよい、と書いてあります。個人的には納得。
外用剤については、一番強いクラス(strongest: デルモベートなど)を10日間以上続けて塗れば、一部の皮疹はよくなるんだそうです(過去の複数の報告より)。でも効果に対する副作用を考えると、蕁麻疹にステロイド外溶剤は勧められないと書いてあります。保険も通ってませんしね。
4.蕁麻疹に漢方は効くのか?
先ほど、Yahooで「蕁麻疹+ガイドライン」で検索したら、右の広告のところに「じんましんは漢方薬で治せます」というのが出てました。ガイドラインでは、「慢性」で「抗ヒスタミン剤で効果が不十分」な場合に「限り」試してみてもよい、となってました。慢性の蕁麻疹患者に一律(みんなに)に漢方薬を処方するのは勧められないと解説にかいてありました。
まだ他にもたくさんの質問と解説が出ていました。