皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会というのに行ってきました。かぶれや、食物によるアレルギーや薬疹などを専門にした学会です。
そこで、冷やし中華を食べた後に全身にじんましんが出て、呼吸が苦しくなった患者さんについての発表がありました。普通は小麦や付け合せの魚介類などを疑いますが、原因は冷やし中華のたれにあったという発表です(横浜市立大学 猪俣先生)。
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初朝顔
こんな患者さんが来たときには、もし患者さんが希望されれば、血液で小麦や大豆やそばや米など、原因と考えられるものに対する抗体がないか調べます。ただ、その種類は限られます。世の中には数限りない物質がありますが血液検査で調べることのできる種類は限られます。そこで皮膚で調べることになります。
この患者さんは冷やし中華を食べてから3時間後に蕁麻疹が出てますので、早いアレルギー反応だと推測できます(即時型アレルギー)。
検査は、血液検査ではRASTなどを、患者さんの皮膚を使う検査では皮内テスト、スクラッチテスト、プリックテストというのをやります。一番原因物質が体に入らない(割合安全な)検査はプリックテストです。金属製の1小さい針の先に疑わしいものをつけてから、皮膚に刺します。細くて小さいので、注射ほど痛くありません。
本題にもどります。この患者さんは以上の血液検査で原因がわからず、皮膚を使った検査で冷やし中華の汁に陽性でした(汁もきちんと検査したところがすごいと思います)。患者さんは、納豆を食べた8時間後に具合が悪くなるということが以前よりあって、納豆は控えていたとのことでした。
原因は納豆のネバネバの成分の中のポリグルタミン酸でした。これは高分子ポリマーで水を吸い込む能力が高く、自重の5000倍ほど水分を保持できるようです。本来は菌が自分を守るバリアとして作っているようです。オムツ、食品、薬品などさまざまな製品に応用されているようです。
納豆恐るべしです。