胸に数cmほどの長細いしこりが触れる 押すと痛い

中年の女性
何日か前から少し痛みがあった。
おっぱいから上の方(鎖骨や脇の方)へ、あるいはおっぱいからお腹の方へ、向かう
触ってみたら幅数mm、長さ数cmほどの棒状(電源のコード状、ひも状)のしこりが触れる
上の皮膚は正常あるいはほのかに赤い
押すと少し痛みもある(ないこともある)
乳癌じゃないかと心配になってきた
モンドール病かもしれません
operazanokaijin
オペラ座の怪人25周年ロンドン公演のDVD 心が締め付けられるような感動


モンドール病は静脈の炎症です。静脈の中にできた血栓(血のかたまり)で血管の中が詰まり、それより手前の部分に炎症が起きた状態です(血栓性静脈炎:けっせんせいじょうみゃくえん)。
ふつうは血管の中に血栓ができるというのは、あまりよいことではありません。たとえば頭や腎臓の動脈に血栓ができると大変なことになります。静脈でも、特に下肢の深いところを走る静脈に血栓ができ(深部静脈血栓症:しんぶじょうみゃくけっせんしょう:エコノミークラス症候群)、その後に血栓がはがれて心臓や肺に流れて詰まると命を失うことがあります。
しかし、モンドール病は局所(ごく限られた場所の)1本の静脈に起きた血栓ですから、あまり心配はいりません。なぜ女性の乳房周囲によくできるのかわかりませんが、たぶん外圧などの刺激により静脈の流れが一時的にせきとめられて血栓ができるのではないかと思います(個人的な印象です)。ブラジャーなどの下着なども関係しているのかもしれません。
治療は放置です(でもときどき通院はしてもらいます)。痛みや赤みが徐々に減り、そのうちしこりだけで症状はほとんどなくなります。その後しこりも消えていきます。1-2ヶ月でよくなってきます。
まれに、乳癌が見つかる方がいるようです。もし検診を受けていないようでしたらよい機会ですので乳癌検診を受けましょう。また、乳癌に手術後にモンドール病を起こす方もいるようです。
モンドール(Mondor)とはこの病気を初めて報告したフランスの外科の先生の名前です。Henri Modor・・・なんか高級菓子のブランド名みたいな名前ですね(失礼)
モンドール病は腕や陰茎に起きることもあります。また似たような症状を採血後に上腕に起こした方もいました。やはり何らかの外的な原因で、皮膚の下の浅いところを走る静脈が一時途絶して、血栓ができたのが原因ではないかと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上へ