免疫とは本来外から入ってくる好ましくない敵(主に感染症)から体を守る軍隊です。この軍隊が反乱を起こした病気を自己免疫疾患(いわゆる膠原病:こうげんびょう)といいます。自己の免疫が自分を攻撃した病気です。関節を攻撃すればリウマチ、甲状腺を攻撃すれば橋本病、膵臓を攻撃すれば糖尿病になります。つまり、攻撃された内臓の役割が壊されるわけです。
円形脱毛症は自分の免疫が自分の毛を攻撃することによっておきる病気です。攻撃によって毛が抜けてしまうのです。円形脱毛症の治療で国がまったく認めていないがよく効く治療が局所免疫療法です。免疫療法というと高尚な感じがしますが、脱毛部分にかぶれやすい物質を塗ってかぶれを起こすだけです。でもよく効きます。
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円形脱毛症は自分の免疫が自分の毛を攻撃することによっておきる病気です。攻撃によって毛が抜けてしまうのです。
なぜこのような攻撃が始まってしまったのかという根本的な原因はよくわかりません。円形脱毛症ではありませんが、全身的な膠原病ではなんらかの感染症にかかった後に発症する方がいます。外からの攻撃(感染症)に対して必死に戦っているうちに、敵も味方もわからなくなってしまったのかもしれません。あるいは敵を見分けるサイン(制服の色やバッジなど)と似たようなサインが味方にあると敵と見分けが付かなくて攻撃が内向きになるのと言ってもよいかもしれません。
前置きが長くなりました。
コイン大の脱毛が2-3個しかないような場合で、周りの毛がずるずる抜けるような感じがなければ、ほおっておいても治ります。多くは自分では気づいてはいなかったが、家人や床屋さんなどで指摘されて受診したような患者さんが多いかもしれません。
ただ、最初は2-3個しかなかったのにどんどん増えていく方がいます。このようなときはステロイドの内服でいったん免疫を抑え込んで悪化を防ぐのがよいという考えがあります(ステロイドはやめるとすぐに元に戻るので使わない方がよいという意見もあります)。2-3ヶ月で毛を攻撃する嵐が過ぎ去る方がいますから、短期間であれば、なるべく脱毛する毛をステロイド内服で守っておくという考えはある程度受け入れられるかもしれません。
脱毛の嵐は済んだけれども、発毛がなかなか始まらない、あるいは短い毛が出てもすぐ抜けてしまう場合があります。こんなときは局所免疫療法が有効な場合があります。
長くなりましたので、次の記事で。