お年寄りや糖尿病の方は、いろいろな病気にかかりやすくなります。
今朝から食欲がない、高熱が出た、体調が悪い。肺や尿路の感染症などを疑って検査をしても特に異常はない。
そんなときは必ず陰部や膝から下(脛、すね、足)を見てください。赤くなっていたら蜂窩織炎や丹毒です。本人も気づいていないことがよくあります。抗生物質による治療が必要です。特に丹毒は溶連菌(ヨウレン菌)という恐ろしい菌で起きるので命に関わることがあります。感染が筋膜や筋肉に起こると壊死性筋膜炎やガス壊疽です。この場合は早急な対応が必要になります。対応が遅れると命を失う危険性があるからです。関連記事:すねが赤くなって痛い、熱もある(蜂窩織炎、丹毒)
見てきました。風がたくさん吹いていて、涙が出ました。
脛(すね、下腿、膝から足首まで)が赤くなって腫れて痛む病気はたくさんあります。ただ、脛の1か所が赤く丸く赤くなって熱を持ち、痛みがあり、かつ体温も高い病気は比較的限られています。日常的には細菌の感染を疑います。ブドウ球菌かヨウレン菌によって起きることが多いと思います。どちらも放置すれば怖いのですが、特におっかないのは糖尿病を持っている場合と、ヨウレン菌です。糖尿病は感染に弱いので普通の人より重症化しやすいのです。ヨウレン菌はトキシックショック様症候群(TSLS)に発展して、文字通り急速にショックになって命が脅かされます(ヒト喰いバクテリアと言われていたやつです。ちなみに”様”がつかないトキシックショック症候群は生理用品のタンポンが感染源になることが多いブドウ球菌による病気です。日本では稀です)。過去に診たトキシックショック様症候群では、昼の12時ごろに太ももの10cm大の赤い皮疹で受診され、夕方にショックになった方がいました。
ヨウレン菌感染を疑う所見と危ないパターンは以下です。(あくまでも個人的な印象です)
溶連菌感染を疑うパターン
赤いところに出血を伴っている(紫斑、出血斑)
非常に痛い(高齢者や糖尿病の方はあまり痛みを訴えないことも多い)
脛の赤みから脚の付け根の方に向かって線状(あるいは、すじ)の赤みがある(股の付け根しにかないことがある)
危ないパターン(ブドウ球菌、ヨウレン菌、そのほかの菌にも共通します)
赤くなっている部位の外側の一見正常皮膚部も痛い(感染が拡大している)
感染を起こしている部位に水疱ができている(虚血:きょけつ、血液が流れなくなっている)
感染を起こしている部位に血疱(赤い水疱)があり、触っても知覚が鈍くなっている(痛みが弱くなっている)(感染部位が腐り始めている。上記よりさらに悪い状態)
全身の皮膚がわずかに赤くて、ヒリヒリする(日焼け後のように)(菌の毒素が全身に回り始めています)
低体温、血圧が普段よりかなり低い(菌の毒素によりショックになりかけています)
CRP(炎症反応です)が10以上、CPK上昇(筋肉が壊れ始めています)、プロカルシトニン高値(敗血症になってます)。