必ず聞かないといけないポイント 白斑(色が抜けてきた)・・・手足にシミはありませんか?

目や口のまわりなどに小さい白斑ができて少しずつ広がってきた。手や足や体にも新しい白斑が増えてきた。
部分的に皮膚の色が抜けて白くなる病気はたくさんありますが、上記のような病歴をとる疾患としてもっとも多いのは尋常性白斑(じんじょうせいはくはん:シロナマズなどと呼ぶ地域があります)です。
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尋常性白斑は外来患者の1.7%を占める、比較的よくある疾患です。
関連記事:皮膚科にかかることが多い疾患ランキング
メラニンを作る細胞であるメラノサイト(色素細胞)を自分自身の免疫が攻撃してしまう(自己免疫疾患)ことが原因です。起きていることはほぼわかっていますが、自分を守るべき免疫が自分を攻撃してしまうようになったのか?なぜまちがってしまうのか?ということも研究されていますが、少なくても患者さん自身のなんらかの行動が原因の引き金になった(患者さんになんらかの責任がある)ということはありません。
尋常性白斑の治療としては、ステロイドなどの外用剤、紫外線療法、皮膚移植などがありますが、効果は十分ではなく、パーフェクトファンデーションVVやカバーマークなどのファンデーションなどで隠してもらうことも多いです。
本題に入ります。
皮膚は内臓の鏡などという言葉があります。皮膚に何かできた・・・内臓になにか問題があるのではないか?というふうに心配する患者さんは少なくありません。
皮膚科に何件か通った・・・なおらない・・・治療法も特に変化しない、埒があかない・・・血液検査もしてくれない・・・内臓から来ているのではないかと心配になる・・・内科にかかる・・・簡単な血液検査で異常がない・・・大きな病院の皮膚科を紹介される
尋常性白斑のように治療法が限られ、かつその効果も乏しい病気にかかってしまった患者さんがたどりやすい流れです。尋常性白斑にはたまに甲状腺疾患が合併することがあるので、ホルモンの検査を行うことはあります。だるさ、元気がない、疲れやすい、食欲がない、などの症状が全くない方に検査をする意義があるのかわかりませんが・・・
どの症候(だるい、熱がある、頭が痛い、腹が痛い、皮膚に何かできた・・・などの患者さんの訴え)にも、めったにないが、絶対に見逃してはいけない隠れた原因(死に直結する疾患)が潜んでいる場合があります。
尋常性白斑のそれは、メラノーマ(悪性黒色腫)です。皮膚疾患で見逃してはいけないポイントのかなりの部分は皮膚を見なくてもある程度スクリーニングできると思います。たとえば電話で・・・・
「体中に島状に色が抜けて白くなってきたのですが・・・」
「手足に7㎜以上のほくろ、シミはありませんか?」
「1本の指の爪に黒い線がありませんか?」
「手足以外に成人以後に気づいた6-7㎜以上のホクロはありませんか?」
メラノーマの患者さんに白斑ができることがあります。逆に白斑からメラノーマが見つかる方も時々います。メラノーマというがん細胞を何とか消そう(本当はそんな意思を免疫がもつことはありません。がん細胞が壊れた時に偶然に認識するわけですが)と免疫がメラニンに対して攻撃を始めます。がん細胞が消えてくれればありがたいのですが、正常のメラノサイトのみ攻撃の影響を強く受けると白斑になってしまうのです。軍施設を攻撃したつもりが民間人がたくさん亡くなる状況と似ています。
数㎜以下の小さいホクロの周りが白くなることがあります。ホクロに対する免疫の攻撃です。ホクロやシミが小さければメラノーマの心配は不要(以前にあったがいつのまにか消えたというエピソードは注意です)ですが、白斑部分が拡大する場合はホクロを取ればストップしますので、皮膚科にかかることをお勧めします。

「必ず聞かないといけないポイント 白斑(色が抜けてきた)・・・手足にシミはありませんか?」への2件のフィードバック

  1. まぶたの一部が白くなって6-7年かけて1cm位の大きさになり、腕には4-5年かけて2mm位の大きさですが、経過を15年毎年定期検診して頂いている皮膚科に原因を聞くと、いつも老化が原因と笑われているのですが、こちらのサイトから医学的な説明を読み、大変勉強になりました。5-6年間原因不明に唇が腫れてひどい時は透明な水分も分泌されて苦しんでいる主人が つい最近アレルギーパッチテストでバルサム オブ ペルーやニッケル、ポタシアムなど沢山の物質に反応することが分かり、バルサム オブ ペルーの事をリサーチしていてこちらのページにたどり着きましたが、白斑や爪などとても教育的で参考になる記事が沢山あるので、これから読み進んでいきたいと思っています。日本語で専門的でも分かりやすく説明してくださっているのでとても感謝です。これから定期愛読させて頂きたいと思っております。良い記事と良いサイトをありがとうございます。

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    ありがとうございます。このようなお褒めの言葉をいただくとブログを続ける励みになります。

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