皮膚科の学会で京都に来ています。島根大の千貫先生のアレルギーの講演を聞きました。自分が忘れないうちにメモっておきます。
食事中あるいは食事の後に瞼(まぶた)が腫れた、喉や口の中がイガイガした、チクチクした。食べ物のアレルギーだと思い、血液検査をしてもらったが何も陽性にならない。・・・そんなときは花粉を検査しなさい・・・と千貫先生は言ってました。ハンノキ、シラカンバ、オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギの6種類がおすすめとのことです。
なぜか?
京都も色づき始めていました 鴨川の上に竜の雲
1.まず花粉で感作されると(アレルギーになると)、花粉の抗原と同じ成分をもつ食物にもアレルギーになってしまうことがあります。花粉・食物アレルギーといいます。例えば白樺の花粉症(北海道にはとても多いです)の方は桃を食べると口や喉の違和感や息苦しさが出ることがあります。
2.次に、食物そのものは血液検査で陽性になりにくいのだそうです。食物と対応した抗原を持つ花粉は血液検査で陽性になりやすいそうです。
1つの植物の花粉にアレルギーがあると、複数の食べ物にアレルギを持つ可能性があるので、花粉から調べたほうが効率がいいということもあると思います。
また、病院で行う血液検査では、すべての食べ物に対する検査が用意されてわけではありません(世の中にはそれこそ口に入れてよいものはたくさんありますので、アレルギーを起こしやすい食物しか検査検査項目はないのです)花粉アレルギーから予想される食物の候補を挙げられれば、血液検査ではなく、プリックプリック検査(実際の食物に針を刺し、その針で患者さんの皮膚を浅くついて(ほんの少し原因物質を皮膚に入れて)反応が出ないか調べる検査・・専用の針を使うのでちくっとする程度の痛みです・・為念)で原因を特定できます。
*よく誤解されているのは、血液さえ調べれば一発で「あなたのアレルギーの原因は000です。」と出ると思っている方がおられます。検査では1個1個可能性のあるアレルギーの原因を調べなくてはいけません。たとえば、バナナ、リンゴ、桃・・・・というように可能性のある食品をピックアップして調べるわけです(アレルギーをおこしやすいものがセットになっている検査もあります)。
千貫先生が報告されていた例は、
食事の後に瞼が腫れた・・食べ物の血液検査陰性・・・花粉の検査でハンノキに陽性・・・ハンノキに関連する食物の中からクミン、コリアンダーが原因だとわかった。
食事のあとにマブタが腫れた・・・食物検査陰性・・・花粉の検査でヨモギに陽性・・・対応する食物の中からゴボウが原因と判明した。
勉強になりました。