日本皮膚科学会雑誌は日本皮膚科学会(皮膚科専門医になるためには必ず所属していなければならない団体です)の雑誌です。
ここには論文や国内の地方行われているさまざまな規模の研究会(地方会、支部総会)で発表された演題の抄録(要約)が掲載されます。私は毎号の後ろのほうに載っている抄録を読むのが好きです。抄録は100字程度の短いものですが、良いものは物語になっていて、「よくここまでつきとめたなぁ」と感心します。
さて、今年の第2号に、ヘアトリートメント後に皮疹と呼吸困難とアナフィラキシー(つまり命にかかわるアレルギー性の反応です。血圧が下がればショックです。病院に行く前に命を落としてしまうこうもあります」
原因はヘアトリートメントに含まれる加水分解大豆でした。日皮会誌125(2)263,2015
カテゴリー: よくある皮膚の病気
強い薬と弱い薬
「それは強い薬ですか?」
ときどき患者さんに質問されることがあるので、ちょっと考えてみました。
強い薬ってなんだ?
お薬手帳
ある症状から原因を探し出すのが診断学です。その第一歩は「中毒」の除外から始めます。尊敬する北里大学名誉教授の西山茂夫先生のお言葉です。
熱が続いていて原因が?・・・飲んでいる薬剤による可能性はないか?
髪の毛が全体に急に薄くなってきたが原因が?・・・飲んでいる薬剤や飲み水の汚染(重金属など)による可能性はないか?
皮膚科に限らず、どんな症状であってもその一歩目は変わらないと思っています。
皮膚科にはたくさんの病名がありますが、一部の腫瘍を除いて、すべて薬剤で起きる可能性があります。薬剤性のメラノーマはありませんが、薬剤性の悪性リンパ腫はあります。
初めて皮膚科にかかる方にお願いしたいのは「お薬手帳」か「薬局で薬と一緒にもらう薬の名前が書いた紙」を持って来てほしいのです。
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副作用が主作用に
製薬メーカーはたくさんの物質を作ってそれが治療薬になるかどうかスクリーニングを行い、動物実験をし、有効性と毒性をチェックし、次にヒトで試します。ほとんどすべての物質は目的とする役目を十分はたせないか、副作用の問題で日の目をみないで消えていきます。でも予想外の副作用が主作用になって世の中に出てくることがあります。昨年認可された薬剤にまつ毛を濃くする外用剤があります。この薬は本来緑内障のお薬として開発されました。
グラッシュビスタR
アニー べたなストーリーですが、泣けて笑えて心が温まります。また1つすばらしいミュージカル映画ができました。おすすめです。
爪の周囲が白くふやけて割れて痛い・・・絆創膏皮膚炎
今まで何度も記事にしたテーマですが、結構患者さんが多いのでもう一度まとめておきます。
手荒れなどで指先が乾燥して割れ始めた・・・痛いのでばんそうこう(特に塩化ビニル製:よくある茶色で穴がいっぱいあいているやつ)をはっている・・・白くふやける・・・どんどん割れ方がひどくなってきた・・・皮膚が白くふやけた後は、乾燥がひどくなります。割れてきます。(むれやすい)絆創膏によってふやけたことによる悪循環が起きていると思います。
絆創膏皮膚炎(ばんそうこうひふえん)という病名を勝手に考えてみました(もちろん世の中のどの書籍にも載っていないと思います。たぶん。)。
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今年も1か月が過ぎようとしています。このようなスピーチを時々聞くと自分に少しムチが入ります。
「思うは招く」Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo
肝臓の検査をしたほうがよい皮膚症状とは?
皮膚は内臓の鏡、などという言葉があります。デルマドローム(内臓疾患と関係する皮膚の症状)という単語もあります。皮膚科の教科書にも肝臓の病気と関係した皮膚疾患がたくさん書かれています。また、Web上の相談サイトなどでも、さまざまな皮膚症状についての質問について「肝臓を調べたほうがよい。内科でみてもらってください」というようなコメントも少なくありません。でも、私の経験では、一部の皮膚疾患を除いて、特に今まで肝臓の異常がない方で肝臓の異常を疑って血液検査を行う必要のある方はかなり限られると思います(あくまでも個人的な経験に基づく印象です)。
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メラノーマの新しい薬が承認された
昨日、メラノーマ(悪性黒色腫)の新しいお薬ゼルボラフが承認されました。飲み薬です。BRAF遺伝子に変異がある方のみが対象となるお薬で、使える患者さんは日本人では全体の1/3ぐらいになります。今年は先に承認されたオプジーボに加えて2剤の新薬が日本で使えるようになりました。ともに約30年(これは私が医師としてこれまで働いてきた期間になります)ぶりの新薬になります。
水虫 トレンドの移り変わり
先日日本皮膚科学会雑誌の今年の皮膚科学会総会特集号が届きました。分厚い雑誌ですが、個人的には1年間に出る書籍や雑誌類の中で最も優先的に目を通す書籍です。皮膚科の進歩が確認でき、自分の知らないことがたくさん詰まっているからです。ブログ記事のネタ探しにも使います。
今回はこの書籍から、水虫についての最近のトレンドについて(金沢医大皮膚科、望月隆教授)
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