乾癬に新しい薬が使えるようになる

乾癬(かんせん)という病気があります。頭のひどいフケ症、全身の皮膚に白く厚い角質がついた丸い少し盛り上がった赤い皮疹がたくさんできます。爪も水虫のように黄色くにごり、厚くなります。皮疹は数個しかない方から全身の皮膚に拡がっている方もいます。ほんとうによくある皮膚疾患です。”かんせん”と呼びますが、人に感染する病気ではありません。関節症状や体じゅうに膿が出る場合がありますが、多くの方は内臓や命にかかわる病気との関係もありません。
ただ、全身に島状の赤い皮疹ができて、バラバラと角質が落ちます。若いころから始まる方も多いので、集団生活、プール、浴場で肌を露出することが困難になります。恋愛や結婚やさまざまな社会生活に差しつかえが出ます。つらい病気です。
治療は、ステロイド軟膏、ビタミンD軟膏、紫外線治療、レチノイド(ビタミンA誘導体)の飲み薬、免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服などが行われます。でも、このような治療をしてもなかなかよくならない患者さんがいます。
新しい薬が年明けにも認可されそうです。
レミケード®(インフリキシマブ)とヒューミラ®(アダリムマブ)です。

“乾癬に新しい薬が使えるようになる” の続きを読む

大酒飲みと皮膚病

首のうしろや手の甲に小さい水疱ができたり治ったりする。
治ったあとがケロイド(正確には瘢痕、はんこん)やシミになって残る。
繰り返すので数mm程度のシミやケロイドがたくさんある中に皮膚のただれ、カサブタ、2-3mmの小さい水疱が混じってみられる。
中年以後の男性で、相当な大酒のみ。肝臓も悪い。C型肝炎のウイルスを持つ、エストロゲン治療を受けている女性など
晩発性ポルフィリン症(ばんぱつせいぽるふぃりんしょう)です。めったにない病気です。

“大酒飲みと皮膚病” の続きを読む

紫外線を当てると蛍光を発する皮膚病

紅色陰癬(こうしょくいんせん)という皮膚病があります。
腋の下や陰部(股の付け根)などに薄い赤茶色の皮膚炎ができて、少しカサカサします。
こすると細かい粉状のアカが落ちます。かゆいときもあるし、かゆくないときもあります。
皮膚科にかかると、まず白癬(はくせん、たむし、みずむし・・・すべて同じ病気)やカンジダ、癜風(でんぷう)などのカビによる病気を疑って検査をします。カサカサのアカを顕微鏡で見るだけの簡単な検査で、カビであれば数分以内に結果が出ます。
でも紅色陰癬(こうしょくいんせん)は細菌(さいきん、ばいきん)による病気ですから普通のカビの検査ではわかりにくいのです。この病気には抗生物質の軟膏が有効です。でも股の皮膚炎でカビがみつからなければ普通は弱めのステロイド軟こうなどが処方されます。治りません。ちょっと治りにくい股の皮膚炎があったら考えなければいけない病気です。単純な真菌の検査ではわかりにくいのですが、この病気は紫外線を当てるとサンゴ様の紅色の蛍光を発するのです。
関連記事
癜風(でんぷう):体に丸いシミがたくさんできてきた
みずむし、たむし
カンジダ:赤ちゃんのオムツの下に皮膚炎ができたら考える病気は?

“紫外線を当てると蛍光を発する皮膚病” の続きを読む

化粧品があわない

化粧品があわないという質問をいただきました。
化粧品が合わない・・・よく相談を受けます。ニキビ様の皮疹やかゆみのある赤い皮疹(頬や目のまわりに赤みとカサカサが出たり、1-2cmの丸い赤みが顔のあっちこっちにできたりします)などで受診される方が多いようです。パッチテストをしても反応の出ない方もけっこういます(本当は陽性率も調べればよいのですが、次回に)。パッチテストで陰性ならば強いアレルギーはないと判断して、今まで使っていたものを1種類づつ耳の前の部分などで試してもらいながら、再び使い始めてもらうことが多い思いと思います。ただ、アレルギーがなくても皮膚症状が出る場合があります。刺激性(しげきせい)といいます。
関連記事:
敏感肌(化粧品があわない)
化粧品のかぶれ
化粧品のかぶれ成分 原因物質ランキング
itiba
ボケリア市場 きのこがいっぱい

“化粧品があわない” の続きを読む

手の平のしわが細かい、多い

今回は手の平のシワが多い場合、医学的に何か関係があるのか?というお話です。
手の平にシワが多い方がいれば、スネ(膝から下の前面、弁慶の泣き所)をみてください。亀の甲羅模様のひび割れや乾燥はありませんか?
尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)かもしれません。怖い病気ではないので、心配はありません。
関連記事
両腕がザラザラする
敏感肌
肌が乾燥してカサカサする
冬の皮膚病(乾燥)
アカギレで手が痛い

“手の平のしわが細かい、多い” の続きを読む

UCLA-8 皮膚科の検討会に出てみた(2)

先週に続いて火曜日8時開始予定の皮膚科の検討会に。今度は8時25分に行きました。ちょうど始まりました。先週と違って病理の病理の教授も出席されていました。進行は臨床写真と病理組織の顕微鏡画像をスクリーンに映して、検討開始です。うちの病院でやっているのと同じです。前回の記事では物足りないとか言ってしまいましたが、取り消します(反省)。

“UCLA-8 皮膚科の検討会に出てみた(2)” の続きを読む

UCLA-3 シャツとネクタイを買いに行った

三日目
朝、出勤したら、ショッキングピンクの服で包まれた巨体の秘書さんが近づいてきて身分証を指差し、さらに大きな身振りで喜んでくれた。「これで公的に出入りできるはね」。ちょっとうれしくなった。
David geffen
David Geffen医学校:UCLAの医学部、歯学部、看護学部、公衆衛生学部ろ癌センターが入っています。こちらは何にでも人の名前がついているので、紛らわしいです。最初、David Geffen医学校はUCLAの分校かと思ってネットでロサンゼルス中を探してしまいました。

“UCLA-3 シャツとネクタイを買いに行った” の続きを読む

UCLA-2 皮膚科の検討会に出てみた

二日目
今朝は、8時からの・・・と予定表にはあった・・・皮膚科の症例検討会とミニ講義(ground round)から開始。病院は去年新築、病院名には大統領だったレーガンの名前が頭についてます。病院だったところは研究所になりました。なぜ病院が新築されたかというと耐震性が問題になったようです。「俺たちはいいのか?」という研究所の先生の意見も。
さて、5分前に着いたのですが、指定された会議室では他の科の検討会が行われていました。こっちでお世話になっている先生も直前に来ましたが、他にはだれも来ません。他の科の会も終わりません。
廊下で待つのも疲れるので、建物に1箇所あるエレベーターホール前の椅子で待ちます。
たまにドアが開いて、掃除の方、警備員、?の方などが降りていく。
待つこと30分。エレベーターのドアが開いて、白衣を着たモデルのような美女の一群が出てきました。一緒に待っていた彼と顔を見合わせてうなづく。これだ、きっと。
Ronald Regan
新病棟

“UCLA-2 皮膚科の検討会に出てみた” の続きを読む

首のうしろから肩にかけて皮膚が硬くなっている。 赤みもある。

首のうしろから肩にかけて、背中の上の方が硬くなっている。
赤みもある。
痛くもかゆくもない。
皮膚が硬いのでつまめない。
だんだん出てきた症状で、特に急な変化はなかった。
糖尿病性浮腫性硬化症(とうにょうびょうせいふしゅせいこうかしょう)
・・・糖尿病ありませんか?
shitirin
秋です。
sannkakuduru
近所の里山産サンカクヅル(三角蔓) 、サンショウ、イグチ

“首のうしろから肩にかけて皮膚が硬くなっている。 赤みもある。” の続きを読む

体や腕に小さい赤いポツポツができている

お腹や背中や腕に、2-3mmの真っ赤な少しおわん型に盛りあがった、まん丸のできものがある。
2-3個しかない人もいるし、10個以上ある人もいる。
老人性血管腫(ろうじんせいけっかんしゅ)といいます。
名前わるいですねぇ。20歳代から出ますからね。だから私は「血管腫です」としか患者さんにいいません。
めったにないけど小さい血管腫がたくさんできる人の中に、全身の病気が関係している場合があります。くどいですが、めったにありません。血管腫だけでほかに症状がなくて元気ならば、ほとんどの方は問題ありません。次のような症状があれば病院へ。

“体や腕に小さい赤いポツポツができている” の続きを読む

上へ