ほくろ

こんな所にほくろが! よくある皮膚の病気(5)
手足のほくろは危ないか?
悪性黒色腫(メラノーマ)という皮膚がんがあります。メラノサイトというメラニンを作る細胞が悪性化した腫瘍です。
さて、この腫瘍は日本人には稀であり、人口10万人当たり年間で1人程度の発生です。日本人においてよくできる場所は手足とその爪で、半数がこの部位にできます。・・・・ということは、残りの半数は体の他の部位にできるということです。
答え:メラノーマは手足に多いのは確かだが、手足のほくろだけを注意する特別な意味は無い。
どんなほくろが危険か?
ほくろは黒子あるいは色素性母斑という良性疾患の総称で、メラノーマとはまったく違うものです。両方とも黒くて小さいうちは見分けがつかないため、上のような質問になるのでしょう。子供のうちは(小さいうちは)、将来悪人になるか、聖人になるか、わからない、と患者さんには説明しています(私はいつも変なたとえをするくせがあります)。
答え:10歳以後に気づいた直径7mm以上の黒いしみ をみつけたら専門医を受診しましょう。あわてないで欲しいのは、このようなしみでもメラノーマである可能性は低いということです(10万人に1人ですから)。鉛筆の断面をしみに当てて、はみ出せば大体7mm以上ということになります
簡単ですから家でやってみてください。
治療は?:ただのしみ状で、盛り上がりがない(厚みがない)場合には5-10mm離して切除してお終いです。この状態なら、まずこの病気で死ぬことはありません。
おまけ:メラノーマといえば巨人の星、星飛雄馬の恋人日高美奈さんですね。これに「うんうん」とうなづいた人は年がわかります。と、息子に言ったら知ってました。アニマックスというチャンネルでやっていたようです。
日高美奈は、メラノーマではない ・・・・・・私の意見・・・・つづきはまた

家族みんなが同じものを食べたのに、なぜ私だけ!!

よくある皮膚科の病気(4)
アレルギーと毒
患者さん「昨日の夜カニを食べてしばらくしたら、急に全身にかゆいミミズ腫れがたくさんできて、かゆくて眠れませんでした。 さっきまで出ていたんだけど、先生が早く診てくれないから消えちゃったじゃないの」・・・受付時刻をみると1時間以上待った患者さん・・・・
「待たせてごめんね。でも診断はジンマシンだね。原因はやっぱりカニかな。」
患者さん「家族全員同じものを食べたのに、私だけなぜ?」
アレルギーというのは、ある物質に対して個人的に相性が悪くなった状態といえます(これは私個人の定義です。あまりに大雑把すぎて、免疫学者に怒られることを承知で簡略化しました)。ある物を口に入れて全員が同じ症状を起こせば、それは毒です(食中毒も含めて)。
ヒトが生きるために口に入れるものは、自分と違う生物です。本来ならすべてを拒絶してもいいものを、生きるためになるべく小さい構造にまで消化分解し、無理して取り込んでいるのだと思います。因みに、エビ、カニなどの甲殻類は成人の食事性アレルギーの原因の第1位です。
じんましん
医学用語では個々の皮疹を膨疹といい、基本的には短い時間で出たり引っ込んだり、形を変える皮疹です。蚊に刺されたときに膨らんだ状態が膨疹です。1-2時間で出たり引っ込んだりする病気はほとんどじんましんです。

痛みが先行してぶつぶつができてきたらコレダ!

よくある皮膚の病気(3)
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
パターン1
4日前から右の胸から背中にかけてチクチク痛みがでてきた。少しかゆみもある。奥のほうも痛くなってきたので湿布を張ったら昨日の朝からぶつぶつ赤いできものが出てきた。湿布にかぶれたかな?
パターン2
3日前から右の側頭部が痛かった。昨日よりぶつぶつと赤いできものができてきた。虫に刺されたかな?
痛みが3日ほど先行し、その部位に赤い皮疹ができてくる病気のほとんどは帯状疱疹です。皮膚は未治療でも治りますが、問題なのは後に残る神経痛です。これは厄介です。
神経痛を予防するのはただ1つ。とにかく1時間でも早く抗ウイルス剤(商品名:バルトレックス)を飲み始めることです。皮膚症状がでてから3日以内がベストです。
この病気になる率は一生の間に10数%あります。7人に1人はなる確率です(今では少ないですが大家族なら誰か1人はなる確率です)。よく覚えておいて、可能性があればすぐ病院へ行きましょう。週末でも救急で薬をもらいましょう。様子をみているうちに治療効果が期待できるゴールデンタイムを逃してしまいます。内服は1週間以内で終了です。後から飲んでも効きません。副作用は少なくて、腎障害のある場合のみ減量が必要です。
なお、痛みが出てから1週間以上経っても皮膚症状が出ない場合はこの病気の可能性は少なくなります。
以下は、以前書いた原稿から・・・・
「帯状疱疹て何でしょう?」 
ある日突然、体の片側に帯状の痛みが出現し、しばらくして赤いブツブツや水ぶくれが次々に出てくる病気があります。これが帯状疱疹で、一生のうちに6-7人に1人はかかるありふれた病気です。著名人がこの病気にかかったことが時々報道されますので、ご存知の方も多いかと思います。
この病気はみずぼうそう(水痘)と同じウイルスによって起きます。初めてこのウイルスに感染した場合は水痘になります。水痘のほとんどは自然に治りますが、治った後もウイルスは脊髄から出た神経の根元に一生潜伏を続けます(ちょっと気持ちが悪いですが、このウイルス以外にも口唇や陰部ヘルペス、突発性発疹、伝染性単核球症などの原因ウイルスは同じように潜伏感染をおこします)。もちろん体はウイルスが再び増殖しないように一生押さえ込みを続けます。ところが、何かの拍子にこの押さえがゆるむと、神経の根にいたウイルスはふたたび増殖を始め、神経を道路代わりにして体の後面から前方へ移動し、途中の皮膚に発疹を作ります。通常は1本の感覚神経の支配する帯状の範囲に水疱ができるため、帯状疱疹と呼ばれています。
最も患者さんを悩ませる症状は神経痛です。皮疹は通常3-4週間で治りますが、神経痛のみが何ヶ月、何年と続く方がいます。神経痛の予防には皮疹が出てからなるべく早く(3日以内)、このウイルス専用の薬による治療を始めることが大切です。体の片側に急に帯状に痛み(あるいは痛痒さ)が出て(体の深いところが痛むこともよくあります)、数日内に虫刺され様の赤い発疹がポツポツ出てきたらすぐに病院に行って下さい(最初は痛みしかないため、貼っていた湿布のかぶれとまちがうことがあります)。ほとんどの方は飲み薬で治療ができます。
帯状疱疹は体中どこにでもできますが、顔に出た場合は、めまい、難聴、顔面神経麻痺などの運動神経麻痺、眼の症状などを伴うことがあります。また、皮膚症状が治った後も大きな傷跡を残すことがありますので、特に顔に発症した場合は注意が必要です。
帯状疱疹にかかった患者さんのほとんどは、特に持病のない健康な方ですが、内蔵に病気が隠れている場合が時々あります。通常の帯状疱疹は顔や体の片側のせいぜい10cm幅の範囲に留まります。発疹が広い範囲に出る、水痘のように全身に出る、水疱が大型である(1cm以上)、10日経っても新しい発疹が出る、などの場合は体がかなり弱っている可能性があります。また、帯状疱疹は1度かかれば、ほとんど再発しません。1-2年の間に繰り返す場合は免疫を低下させる病気が隠れている可能性があり、精密検査が必要です。

脂肪のかたまり?

よくある皮膚の病気(2)
皮膚直下に親指大までのぐりぐりした真ん丸い(球形)のしこりができることがあります。「脂肪のかたまり」あるいは脂肪腫なのどと言われます。しかし、これはよくある皮膚の病気(1)で取り上げた粉瘤(ふんりゅう:皮膚の袋)のことで、よくみると表面の皮膚に小さな穴が開いています。角化物が酸化すると黒くなり、黒い栓がささっているようにみえることがあります。しぼると中から臭く白いお粥状や麹状のものが出ます(確かに脂肪に似ているかも)。でも、これは垢(角化物)です。本当の脂肪腫は粉瘤より稀で、球形というよりはそろばんの玉状でくりくり良く動きます。もちろん絞っても何も出ません。

”おでき”ができた!!

よくある皮膚科の病気(1)
おできには2種類ある
痛くなる前にしこりがありませんでしたか?
突然、何かチリチリする痛みが出て、触ってみるとしこりがあって、丸く赤く腫れている。いわゆるおできですね。こんな時、考える病名は2つです。考えられる疾患(鑑別(かんべつ)疾患(しっかん)といいます)はもっとたくさんありますが、全部書くと教科書になってしまうので省略します。ただ、2つの疾患で90%以上はカバーされると思います。

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