B型肝炎ウイルスと人類(とサル?)の大移動(The great journey)

子どもさんの頬や肘や膝に3-4mmほどのお椀型に盛り上がった赤いブツブツが集まったようにできる病気の中にジアノッティ(ジアノッチ、ギアノッティ、ギアノッチ(Gianotti)病 やジアノッティ症候群(Gianotti-Crosti syndrome、ギアノッチ・クロスティ症候群)と呼ばれるものがあります。
Gianotti病はB型肝炎ウイルスの感染、症候群のほうはEBウイルスなどの感染によっておきます。B型肝炎ウイルスはお母さんからうつりますが、今は妊娠時に調べて対応するようになったせいか、ギアノッチ病は個人的にはみたことがありません。症候群のほうはときどきあります。肝炎を起こすことがあるので、かわいそうですが血液検査をします。
B型肝炎ウイルスの感染は中国を筆頭にアジアに多く、肝臓がんの発生等、大きな問題になっています。皮膚科的には上記疾患をのぞけば、肝硬変や肝臓がんにともなってでてきた皮疹で患者さんをみることがあります。
さて、B型肝炎ウイルスには亜型があって、それに地域差があります。ちょっとまとめてみます。B型肝炎ウイルスと人類の大移動(アフリカを出てからホモサピエンスが世界に散らばった軌跡、The great journey)についてです。
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ラッカーってなぜラッカーっていうか知ってます?

「ラッカーってなぜラッカーっていうか知ってます?」
後輩ですが、臨床能力が高くて尊敬しているM先生から聞かれました。
指先が荒れて治らない患者さんが来て、いろいろ聞いていたらサックスを吹いているんだそうです。
じゃあ、金属のかぶれだね、と普通は思いますが、金管楽器には音の響きやメインテナンスのためにラッカーを塗るんだそうです。知りませんでした。
nasu2011
ポット、ナス、醤油刺し

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遺伝子発現をコントロールする・・・エピジェネティックス

昨日前橋から帰ってきました(学会に出てました)。そこで面白い講演がありました。エピジェネティックスなるものです。
生物の細胞はそれを形作ったり、ある作業をさせるための設計図(文書)を持っています。DNAといいます。
同じDNAを持っていたら全く同じ形質が表れる・・・クローンですね、と考えられてきました。
でも、1卵生双生児は成長とともに違いが出てくる。遺伝が関連する病気でも片方しかならないことがある。
また、ある三毛猫のクローンを作ったら、違う模様になってしまった。愛するペットのクローンを作るベンチャー企業があったそうですが、2匹作ったところで倒産したそうです。
この現象をエピジェネティックスといいます。定義としては「ゲノム変異以外のメカニズムで遺伝子発現を制御し、細胞や生体に変化を生じさせる現象」だそうです。
参考サイト
1)科学技術動向2009
2)ニューズウイークマガジン2009
ライチ?
ライチ? 種を埋めたような埋めなかったような
koke 2011
苔です 大事にしてますが、あまり増えません

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ハンセン病はどこから来た?人類の大移動と感染症

さっき札幌から帰って来ました。国際微生物学連合 2011 会議(IUMS2011)というのに出てきました。
2週間にわたってカビや細菌やウイルスなどの研究成果が発表される大きな学会です。
そんな中で、30年前に西アフリカから日本に連れてこられたチンパンジーがハンセン病を発症した事例が報告されていました。このチンパンジーの菌はアジア型ではなく、もともと住んでいた西アフリカの型だったのです。ハンセン病の感染は乳児期に起こるとされていますが、このチンパンジーの事例はそれを証明したことになります。この報告は昨年すでにされていて、ニュースにもなっています・
今回はこの研究報告のポスターに、ハンセン病はどのように伝播したかという世界地図が参考図として出ていたのです。なんと東アフリカから始まってユーラシアを東に向かっているではないですか。世界地図に人類の移動の矢印が出ていると興味はそこに集中してしまいます。元になったMonet先生の論文を読んでみました。
FDA

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妊娠中にステロイド外用剤を使用しても大丈夫か?

妊娠中は生まれてくる赤ちゃんに影響が出ないよう、薬の使用に注意します。
妊娠中に強い副腎皮質ホルモン剤(いわゆるステロイド)外用剤の使用が、生まれてくる赤ちゃんの低体重に関係するという報告が今年の3月にありました。イギリスでの研究です。口蓋裂や早産、死産との関係はなかったとのことです。参考文献
koriannda-nohana
越冬コリアンダーの花と初イチゴ
asuparanohama
アスパラガスの花
nobironohana
ノビル(野蒜)の花芽(花になるか?)

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UCLA-7 だんだん白くなっていく馬: 葦毛馬(あしげうま)とメラノーマ

今日も日曜日で休み。
馬を見に、Santa Anita Parkへ連れて行ってもらいました。あくまでも馬を見るために。ロサンゼル北東30-40kmにあり、武豊がオフを過ごす所らしいです。第二次世界大戦のときに収容所として在住日系人が入れられたところとしても有名です(山崎豊子:二人の祖国)・・・関連(あまりないですね)記事「小さな指のイボに泣けた:日航機墜落」
めずらしく葦毛馬がいました。オッズ33倍。美しい馬でしたがビリでした。葦毛馬といえばオグリキャップなどを思い出します。葦毛馬にはメラノーマがよくできるという話しを聞いたことがあります。今回は馬のメラノーマについて。久ぶりに”目からうろこ”。競馬理化学研究所の戸崎晃明先生の論文(pdf)より
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縄文人が持ってきたもの

弥生人の一部にベーチェット病になりやすい一群(なりやすいといっても、ベーチェット病になるのは非常に稀です)がいた、というのが前回の記事でした。
今回は、また、眼と皮膚に病気を起こす「原田病」(Vogt – 小柳 – 原田病)についてです。
原田病は、メラニン色素を持った細胞(髄膜、ぶどう膜、皮膚、頭髪、内耳など)を自分の免疫が攻撃してしまう病気です(眼はカメラですから、暗幕(メラニン)が張り巡らされています)。ぶどう膜炎や皮膚の白斑(はくはん:しろなまず)が代表的な症状です。
この病気は、東南アジアとアメリカ先住民に多いのです。
出展は同じ、大野先生の論文から。

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渡来人が持ってきたもの

ベーチェット病という疾患があります。
目や皮膚・粘膜、血管、脳神経など、全身に症状を起こす病気です。皮膚・粘膜には、口内炎、陰部の粘膜の潰瘍、すねの痛くて赤いしこり(結節性紅斑:けっせつせいこうはん)、ニキビ様の皮疹、皮膚の静脈の炎症(血栓性静脈炎:けっせんせいじょうみゃくえん、スジ状に硬く触れます)、注射の後に傷が赤くしこって膿を持つ(針反応)、などの症状を起こします。眼症状は失明の原因になります。
さて、ベーチェット病はシルクロード周辺によくみられます。
なぜ、ある地域の住民だけに発病がかぎられるのでしょうか?
北海道大学眼科教授 大野重昭教授の論文より・・・

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蚊に刺された!!なぜ俺だけこんなに腫れるんだ!!

子供の手足にすごく痒い腫れものができた。虫刺されかな?外にも出ていないのに。 これから虫に刺される季節が来ます。蚊などに刺されると痒く盛り上がった赤い発疹ができます。特に子供では、大型で水ぶくれになったり、じくじくした状態になるなど、大人に比べて激しい症状を呈します。また、症状に気づいた日は1日家にいて、外には出なかったと言う患者さんも時々います。また、初めて訪れた場所で虫に刺され、それまでにない激しい症状が起きて皮膚科を受診し、「この土地の虫は毒が強い」と不満をもらした患者さんもいました。 ・・・虫の種類と個人の問題だろうと思っていました・・・ しかし・・・

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ラテックスアレルギーとゴムの木の痛み

ラテックスアレルギーとゴムの木の痛み
生体防御蛋白とアレルギー
何年か前の講演会で聞いた内容です。私には目からうろこでした。
以前、使い捨てゴム手袋の使用によって手の腫れやかゆみといった皮膚症状や時に全身のアレルギーが医師や看護師に起きて、問題になったことがありました。ゴムの成分であるラテックスのアレルギーです。
さて、ラテックスは植物が病害虫から自らの身を守るために産生する生体防御蛋白質の1種であるという説があります。この生体防御蛋白質には多くの種類が知られていますが、問題なのはヒトにアレルギーを起こす可能性の高い物質が含まれているということです(国立医薬品食品衛生研究所HPより)。
交配や遺伝子組み換え(生体防御物質を作るような遺伝子を入れる)によって、病害虫に強い品種ができたという利点の対極に、アレルギーを起こしやすいという欠点が新たに出てきてしまったということでしょうか。
ゴムの樹脂は、幹に傷を斜めに付け、その樹液を採取します。小中学校の社会で、プランテーションという農業形態を学んだ時に、教科書に写真が出ていた記憶があります。子供心に何だか痛々しい感じを受けました。このストレスや長年にわたる栽培に適した品種改良が、ゴムの木に強い防御物質を作らせたと考える研究者がいます。そういえば、かぶれの代表格であるウルシもゴムと同じ方法で樹液を採取します。これらの木は長い間、痛みに苦しんできたのでしょうか?でも、メイプルシロップも樹液ですが、アレルギーを起こしやすいという話はあまり聞きません。木の精神的(?)苦痛と生体防御物質の関係の真偽についてはもう少し研究が必要かもしれません(既に論文はあるのかもしれませんが)。
無農薬とそうでないリンゴでは、無農薬のリンゴのほうが生体防御蛋白質を多く含んでいた、という発表があり話題になったことがありました。農薬が無い状況下では、自分で自分を病害虫から守らなければならないのだから、ある意味妥当な結果でしょう。以前、市民農園を借りて無農薬、無肥料(実情は、手入れをさぼっただけですが)で野菜を作ったことがありました。病害虫被害を一手に引き受けたような畑になりました。あの時の菜っ葉達のストレスは大きかっただろうな、と少し反省。
念のため:品種改良や遺伝子組み換えを否定するつもりはありません。生体防御物質は通常の植物でも産生されている物質ですから、その利用の仕方が重要なのでしょう。ただ、無理が過ぎると、どこかにとばっちりが出るということはありえるかもしれません。

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