肌の色は白いほうがよいのか、黒いほうがよいのか

白い肌にあこがれたり、漆黒の肌にあこがれたり、肌の色の好みは自分の肌の色やその時代の流行にも影響を受けて、結局人それぞれです。
皮膚がんや光老化(ひかりろうか:昔はシミやシワが増えるのは単に年齢的なものだといわれていましたが、最近は長期の紫外線による影響が主たる原因であることがわかり、このように呼ばれています)という観点からいえば、肌は黒いほうが望ましいということになります。(関連記事:30歳以後の頬のシミ)。北ヨーロッパの白人がオーストラリアに移住したことにより、メラノーマの発生率が数倍に増加しました。
肌の色によって、住むべき緯度が決まっていて、それを無視すると問題が起きる、ということは以前から皮膚科医の中ではよく知られた事実でした。
チョット前のNHKスペシャル「病の起源:第2集、骨と皮膚の病気、-それは出アフリカから始まった-」から(ネーミングがいい)。


アフリカで毛を失った(なぜ毛を失ったのだろう?)ヒトは、紫外線から皮膚を守るためにメラニンを多量に作るようになりました。アフリカを出て、世界に拡散するにつれ、北の紫外線の弱い地域に着いた色の黒いヒトに起きた悲劇は、弱い紫外線環境の中でビタミンDが作れずに骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまったことでした。今度は弱い紫外線を有効に吸収するため、色を失っていったのです。
この色白のヒトたちが紫外線の強い地域(オーストラリアのクイーンズランドなど)に移住して起きた悲劇が、皮膚がんの多発です。
でも番組を見ていて、もっとショッキングだったのは、北欧でIT産業に従事するインド人の子供がビタミンDを作れずにクル病になってしまったという内容でした。番組でも肌の色と居住するのに望ましい緯度帯が示されていました。居住地の選択域の広さという点では、黄色人種は比較的恵まれているかもしれません。
色白といえば、北陸や東北、特に秋田美人。最近ではこれらの地域のヒトにもメラニンを上手く作れない遺伝素因があると聞いたことがあります。日本海側は曇りがちですから、北欧の白人のように必要性があって白くなったのでしょうか。
余談:尊敬する著名な皮膚病理学者A先生は、「ヒトは進化の過程で毛を失ってきた。だから、ハゲているのは、そうでないものより進化している」とおっしゃいます。もちろん先生の頭のてっぺんの毛はまばらです。
NHKスペシャル、病の起源・・・昨年ディレクターから取材を受けました。番組を見るとほとんど役に立たなかった感じですが、さすがNHKと思わせる良質のプログラムでした。次回の番組と再放送を楽しみにしています。
次の記事:肌の色は白いほうがよいのか、黒いほうがよいのか(2)
黒い夜
私のように黒い夜―肌をPUVAで焼いて黒人に扮した白人が体験した物語
今から数十年前のフィクションです。肌が黒くなっただけでおきる恐ろしい世界が展開します。

「肌の色は白いほうがよいのか、黒いほうがよいのか」への1件のフィードバック

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    またまた見に来ましたo(〃^▽^〃)oはやくはやく更新たのしみにしてます♪(笑)すいません。こんな性格で(笑)

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