遺伝子発現をコントロールする・・・エピジェネティックス

昨日前橋から帰ってきました(学会に出てました)。そこで面白い講演がありました。エピジェネティックスなるものです。
生物の細胞はそれを形作ったり、ある作業をさせるための設計図(文書)を持っています。DNAといいます。
同じDNAを持っていたら全く同じ形質が表れる・・・クローンですね、と考えられてきました。
でも、1卵生双生児は成長とともに違いが出てくる。遺伝が関連する病気でも片方しかならないことがある。
また、ある三毛猫のクローンを作ったら、違う模様になってしまった。愛するペットのクローンを作るベンチャー企業があったそうですが、2匹作ったところで倒産したそうです。
この現象をエピジェネティックスといいます。定義としては「ゲノム変異以外のメカニズムで遺伝子発現を制御し、細胞や生体に変化を生じさせる現象」だそうです。
参考サイト
1)科学技術動向2009
2)ニューズウイークマガジン2009
ライチ?
ライチ? 種を埋めたような埋めなかったような
koke 2011
苔です 大事にしてますが、あまり増えません


1人のヒトの脳の細胞にも皮膚の細胞にも核には同じDNAが入っています。DNAはすべて利用されているわけではなく、ごく一部が読まれて様々形や仕事の指令がでます。遺伝子といいます。さらに遺伝子はすべて活用されるわけではななく、外にスイッチがあります。オフにするスイッチとして主に2つが知られています。脳の細胞は脳の章を皮膚の細胞では皮膚の章が読まれ、関係ない章は読まれないように閉じられてしまいます。
ここまではまあそんなもんか、と思います。スイッチが入ったら入ったまま、オフならオフのままに一生変わらなければです。
ところが、このスイッチがまわりの環境で入ったり、止まったりすることがわかってきたのです。三毛猫のクローンが同じ模様にならなかったのは、胎内での環境が茶、黒、白という色を作る遺伝子の発現を変化させていたことによります。こればまだ、生まれるまえですからいいのですが、1卵生双生児が生後、徐々に差が出て行くということは結構ショッキングな現象です。私達は生まれてからも環境により遺伝子の働きが変わってしまう可能性があるということになります。
実際には子どもの頃の環境(心理的なものを含め)、喫煙や飲酒、いろいろな病気などの経験によって遺伝子の動きが変化する可能性があるということになります。
さらにショッキングなことは、この生まれてから変化した遺伝子の働きが、子孫に受け継がれる可能性がわかってきました。これはメンデルやダーウインの進化論にも大きく影響を与える事件です。
現場でうすうす感じてきた事柄が、このように説明されるようになるということは、全く予測していませんでした。この理論は今後どのように発展していくのでしょうか。

“遺伝子発現をコントロールする・・・エピジェネティックス” への 5 件のフィードバック

  1. SECRET: 0
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    ども!自然淘汰による進化よりも早い進化があっただろうと思いますが、そのメカニズムの一つですね。激しく変化する環境に順化にも親善淘汰を待っていては絶滅ですよね。

  2. SECRET: 0
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    人工的に作出したヒラメに色素異常が多く出ることは有名です。最近、かなり初期の温度管理などで出現率を小さくできることがわかってきました(その機序までわかっているかは奈良部は知りませんが)。色素細胞には相当外的な因子がかかわっているようですね。

  3. SECRET: 0
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    NRさん、AZMさん、コメントありがとうございます。エピジェネティックスに該当する事例はたくさんありそうですね。

  4. SECRET: 0
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    NRさん。面白い総説を紹介してくださりありがとうございます。ちょっとワクワクする話ですね。

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