指が水でふやけるのは水中の物をつかみやすくなるから?

ちょっと前に少し話題になったニュースです。水に長く入っていると指がふやけます。Newcastle大学のTom Smulders先生は、乾いた状態とふやけた状態でどちらが水中の物をつかみやすいか?という実験をやりました。皮膚がふやけていた方が物をつかみやすいという結果が得と述べています。しかし、それなら効率性からいえば手指の皮膚はいつもふやけていたほうがいいんじゃないか?ということになりますが、彼らは、いつもふやけていると知覚が低下するなどの問題が起きるので、必要なときだけふやけるのかもしれない、と説明しています。突っ込みどころ満載の報告ですが、面白い点もあります。
出展はこちらです。
論文”Water-induced finger wrinkles improve handling of wet objects”
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生物の構造にはきっと何か目的があるのだろうと考えるのはとても楽しいことです。でも、気をつけないといけません。キリンの首が長いのは高い木の葉を食べるのに有利であり、きっと首の短いキリンは淘汰されたのであろう、とか、シマウマの縞はブッシュで模様がまぎれる利点があるので模様がない場合よりも生き延びてきたのだろう、とか、です。尊敬するA大のM先生の講演でのたとえが面白いのです。「低いところの葉を食べつくしてしまったら首が長くなるまでそこにいるか?葉が食べやすい場所に移動するだろう。高いところの葉を食べられる利点で首が伸びたんじゃない。首が長くても生きられる環境があったんだ。」です。
このブログで最近取り上げた近藤先生のシマウマの縞はなぜあるのか?という説明も似ています。シマウマの縞は生存には不利な模様ではないかとのことです。そのままでは目立つわけですから。たまたまブッシュがある場所にいたので生存を続けられたと考えたほうが妥当かもしれないということです。シマウマより圧倒的に多いヌーには模様はありません。
さて、今まで何度もこのブログで取り上げてきたテーマですが、皮膚がふやけることは皮膚にとって大きな問題です。バリアの破壊や保湿成分の喪失が起こり、それは新しい皮膚が上層に現れるまで回復しません。口の中の粘膜も皮膚と同じ扁平上皮で、細胞はケラチンという骨格でできていますが、ふやけません。これは、粘膜の細胞のケラチンと指の皮膚のケラチンと体の皮膚の細胞のケラチンが異なるからです。口の中に炎症や癌ができるとその場所が白くふやけてきます。白板症(はくはんしょう)などと呼びます。これは本来水の中でふやけいない性質のケラチンが異常になって水を吸ってしまうようになったためでしょう。手足のケラチンは他の部位の皮膚とも異なります。しっかりとした硬いケラチン(セラミドを間にはさまない)を表面に作ります。手足の皮膚は水に弱いのかもしれません。
サルの指が本当に水でふやけないのであれば、ヒトの手は水にふやける必要性がサルより減った。とも考えられるかもしれません。指紋はヒト以外にサルやコアラの手にも認められます。ヒトの指紋は指では渦巻状、手のひらでは平行に並んでいますが、サルでは母指球などを含め手のひらにも渦巻状を呈するようです。この差はやはり木を登る必要性(物をつかむ必要性?)の差によると考えた方がよいのでしょうか?

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