左腕の肘から先がむくんでいる

高齢の女性です。半年前から左腕の肘から先がむくむようになった、最初は良くなることもあったが、そのうちむくみが続くようになった。かかりつけの内科で血液検査を行って腎臓には異常がないといわれ、かかった皮膚科から紹介されました。
診察してみると左の肘から先、手の甲までむくんでいます。押すとへこみます。皮膚は全体に赤みはありますが、痛みや熱はありません。患者さんは元気です。
タンク花
灯油タンクの下に小さな花畑
ちゃんちゃん焼き
親戚から届いた秋味 味噌だれを混ぜてチャンチャン焼きに


左腕の肘から先にだけに問題があるのですから、腎臓や肝臓や心臓などの内臓の病気ではありません。腎臓や肝臓や心臓などの内臓の病気なら全身がむくむはずです。
左の腕がむくんでいるのだからまずは、左の腕のみに限局した病気か、左の腕から水がもどれない理由があるのではないかと考えます。左の腕のみの異常としては、感染やリンパ腫などの腫瘍を疑います。左の腕から水が中枢にもどれない原因があるとすれば、腕、腋、腋から先にリンパの流れをブロックする何かがあるかもしれません。
この患者さん肘や腋を触ってもリンパ節の腫れ(リンパをブロックする障壁)はありませんでした。もっと中枢に問題があるとすれば、縦隔です。右肺と左肺の間、気道や食道や大静脈や動脈が通っているところです。ここに腫瘍ができていたらリンパ流が止まりますので顔がむくみます。この患者さんの顔はむくんでいませんでした。
腕からのリンパは皮膚の下を通って胸の方にも向かいます。胸を見せてもらったら左の乳房が変形していました。乳癌でした。乳腺外科に紹介しました。
もう少しで左の腕の生検を行うところでした。生検標本を1週間後に見て、もし変化がなければ、診断?か袋小路に入るところでした。体の一部の異常はその場所の問題だけではなく、そこより中枢に問題がある場合があるので、異常のある場所のみの診察では見落とす可能性がある、ということをあらためて心に刻みました。

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