鼻とそのまわり、小さい黒い傷が治らない カサブタができて取ると血が出る

鼻とその周囲の皮膚(ほっぺた)や下眼瞼(かがんけん、下のまぶた)によくできる皮膚腫瘍があります。基底細胞がん(きていさいぼうがん)、基底細胞腫(きていさいぼうしゅ)です。一応皮膚がんですが、基本的には転移はしません。ただ際限なく大きくなり、周りを破壊して深く入っていきますから良性ではないのですが、転移は基本的にしないのでなんとなく中途半端な腫瘍です。数㎜のサイズでも中央が潰瘍化することが多いので、小さい傷が治らない・・・しょっちゅう血が出る・・・・と訴える患者さんがいます。

基底細胞がんは皮膚がんの中では一番多く、皮膚がんの1/4を占めるよくある腫瘍です。でも、ちょと変わったところがあります。多くが顔、特に顔の中心である鼻やその周囲によくできます。顔にできるので紫外線が関係していると教科書には書かれていますが、私は少し違うと思います。紫外線で起きることがはっきりわかっているガンは日光角化症と有棘細胞がんです。どちらも耳の前によくできます。日焼けは鼻やおでこ、頬などに強く出ますが、不思議なことに長期間の紫外線暴露の影響は耳の前によく現れます。シミは耳の前に多いと思います。でも、基底細胞癌は耳の前にはほとんどできません。鼻とその周囲です。個人的な印象ですが、この腫瘍は部位依存性+紫外線ちょっと・・でできるような気がします。

さて、基底細胞がんが数㎜と小さくてもよく血が出ます。一見つるっとしていても、拡大してみると真ん中に小さな潰瘍(皮膚が崩れて肉が見えている状態)を伴うことがけっこうあります。変な血管の拡張もあります。2-5㎜程度の小さい傷が治らずに何カ月も続いている場合は基底細胞がんの可能性があります。皮膚科にお越しください。

 

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