登山中にこけて手をついた 腫れてきた 冷やし方

 

今年も“お山の診療所“に行きました(関連記事:お山の診療所 201120132015)。お盆+山の日から続く連休中+土日、であり、患者さんが多いのではないかと思いましたが、数名でした。同行した若き外科医がてきぱきと対応してくれて、おじさん皮膚科医はとても楽でした。

患者さんの中に転倒時に手をついて手首を痛めたといって受診された方がお二人いました。お一人は痛みと腫れがあり、捻挫や骨折が疑われました。「何か処置はしましたか?」「骨折が疑われるときは冷やしてはいけないと言われたので、そのままにして小屋まで来ました」とのこと。なかなか正しい知識は広がらないのでしょうか。登山で移動中であれば制限もありますが、答えは、”まず冷やす(持参の保冷剤、沢水、雪渓の雪(あれば)”“動かさない:棒状のもので固定する”“圧迫:患部を包帯で巻く”(上肢なら)“なるべく高い位置に置く(三角巾)”です。

今回は皮膚科には直接関係ないのですが、(登山中はないと思いますが・・・)冷蔵庫の氷などを使った場合には冷やしすぎて凍傷になってはいけないので、冷やし方について。

素晴らしい朝焼けです

槍ヶ岳を包んで30秒間白い虹がかかりました 8月11日のNHKの山番組で白い虹は珍しいと紹介されていたので良いものを見られたと思いました でも後で写真をよく見ると少し色がありますね

患者さんの来所も途絶え、夜を迎えます さて、私たちも・・・そろそろ つまみを作ります。

冷やし方のポイント・・・次のサイトより

だいたい20分間継続・・・ただし途中で皮膚の感覚がなくなってきたら一旦冷やすのを止める。冷やし始めてからの皮膚の感覚は、順番に、

(1)痛い(ジーンとくる痛み)

(2)暖かい(短い時間だがポッとする感じ)

(3)ピリピリする(針でつかれるような感じ)

(4)感覚がなくなる(冬の寒い日につま先の感覚がなくなるような感じ)

の順です。感覚がなくなったら冷やすのを止めるサインです。

*山では手持ちの保冷剤や沢の水や雪渓の雪などを使うことになります。

2)冷やすのを中断してから痛みが復活してきたらまた冷やす。

注意1:冷蔵庫の氷は零度以下なのでそのまま使うと凍傷になるかもしれないので、水を加えて温度を零度以上あげてから使う

注意2:湿布は最初に使用しません。まずは“冷やす“です。

「骨折が疑われるときは冷やしてはいけないと言われたので、そのままにして小屋まで来ました」・・・。このような間違った処置をして受診してくるケースは、山に限らず医療現場ではめずらしくないことです。患者さん個人の問題かもしれませんし、グループ(登山の仲間や家族や友達)の中に意見を通す力は強いが、間違った知識(たぶん間違った耳学問や個人の印象、他の痛みを伴う病気との勘違い、一般化)を披露してしまう方がいると、このような問題が起きます。登山中の怪我に関わらず危機管理のすべてに通じるリスクでしょうか。

「登山中にこけて手をついた 腫れてきた 冷やし方」への2件のフィードバック

  1. 山いいですね。コマクサが可憐。元写真部だったと。どうりで山の写真が素晴らしいです。センスが無いといくら撮っても上手くなりませんね。日航機の事故からもう32年ですか。月日の流れはあっという間です。あの日、小生も山の帰りでした。確か後立山連峰からの下山途中でした。ご遺族にとっては、あの日で時間が永遠に止まっているのかもしれませんね。これからも素敵な山の写真を。勿論素敵な皮膚科の記事もよろしくお願いします。

    1. ありがとうございます。このようなコメントはブログを続ける励みになります。うはら皮膚科

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